歯科治療

新型コロナウイルスの影響で歯科医院への通院は大丈夫?

投稿日:2020年5月31日 更新日:

こんにちは!
岩手県盛岡市のマモインプラントクリニックマリオスの理事長高橋衛です。

世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスの影響もあり、毎日不安な思いを抱えながらの生活で心身ともにお疲れではないでしょうか?日本国内では、全国に発令されていた緊急事態宣言がようやく全面解除になったこともあり、久しぶりの明るいニュースにほっとしたという方も多いことでしょう。しかし、世界的に見ればまだまだコロナウイルス収束の見通しが全くつかない状況と言われており、さらに、今後も流行インフルエンザ同様に人類はコロナウイルスとの共存を目指していかなければならないとの予測が立っています。

このような状況の中、歯医者に行きたいけれど、「新型コロナウイルスの感染リスクが高いと聞いたし、当分行かない方がいいのかな?」と不安に思っている方が多いと耳にします。実際に、3月下旬から4月上旬ごろには、テレビなどのニュース番組などでも「歯科医院は新型コロナウィルスの感染リスクが非常に高いと言われている」などといった報道がいくつもなされており、それを見た人は「今は歯医者にはいかない方が良い…」と考えてしまっていることでしょう。

それでは、こういった報道の通り、歯科医院の新型コロナウイルス感染リスクは本当に高いのでしょうか?最初に言っておきますが、そんなことはありません。
この記事では、歯科医院での新型コロナウイルス感染リスクについて簡単にご紹介しておきます。

歯科医院のコロナ感染リスクは高いのか?

それではまず、以前「感染リスクが高い」と報道された歯科医院に関して、その情報は本当なのか?と言う点について考えてみましょう。答えから言ってしまいますが、歯科医院で治療を受けても、コロナウイルスの感染リスクは決して高くないので安心してください。

そもそも、歯科医院は治療のために患者様に直接触れる職業となりますので、新型コロナウイルス以外にも多くのウイルスや細菌への感染予防を徹底しているのです。現在は、新型コロナウイルスの感染爆発が起こっているため、誰もがコロナウイルスのことばかり気にするのですが、歯科医院ではコロナウイルスが蔓延していようがしていなかろうが、普段から徹底した感染症対策を行っているのです。
例えば、ノロウィルスやはしか、風しんなど、私たちの身の回りには感染を引き起こしてしまうような細菌やウイルスというものはたくさん存在しています。そのため、治療によってそれらの感染事故を引き起こさないためにも、普段からさまざまな対策を行っているのです。

歯科医院では、「ユニバーサルプレコーション」という概念のもと、「手指の衛生を保つ」、「防護具を着用する」、「医療器材の洗浄・消毒」など徹底した感染予防が行われています。

歯科医院の感染リスクが高いと言われた理由は?

上述のように、歯科医院というものは、コロナウィルスの蔓延以前から非常に厳格な感染症予防対策を行っているわけですので、当然今回のコロナウイルスに対する感染リスクのみが高いはずがないのです。それではなぜ「歯科医院はコロナウイルスの感染リスクが非常に高い!」と言われるようになったのでしょうか?

この理由は、3月15日にアメリカのニューヨークタイムズ紙で「歯科医師や歯科衛生士は、職業的に新型コロナウイルスに感染する可能性が高い」という報道がなされ、それをもとに日本国内でも同様の報道がされたのが原因でしょう。

引用:https://www.nytimes.com/interactive/2020/03/15/business/economy/coronavirus-worker-risk.html

この報道では、上図が歯科医院の感染リスクの高さを示すものとして紹介され、国内でもテレビを始めとした報道やSNSなどでも広く拡散されています。図を見ていただければわかるのですが、右上に「Dentists(歯科医師)」が表示されており、これは歯科医師が非常に感染リスクが高い職業であるというふうに読め、これをもとに歯科医院は危険だという報道になっているのです。
しかし、本当に「このデータが正しいと言えるのか?」というとそうでもないのです。このグラフに関しては、国内の歯科医師会からもさまざまな意見が出ていますので以下でご紹介しておきます。

この図自体は、何かの科学論文の引用ではなく、新聞社で独自に作成したものです。O*NETという米国労働省が運営する職業に関する総合的なデータベースを論拠としていますが、実は2年前(2018年5月)のデータを用いているのです(先に引用したVisual Capitalistの記事も同じくO*NETのデータベースを利用しています。)
図の横軸は、「仕事中の他人との近接距離」を示しています。歯科医師は当然のことながら、患者さんときわめて近い距離にいますので、図の右端に位置することになります。
いっぽう縦軸は、「病気や感染症への暴露の度合い」を示しています。こちらは、下の方から「なし」「1年に1回以上」「月に1回以上」「週に1回以上」「毎日」となっていて、病気や感染症の種類についてはどんなものかは制限していません。歯科医師は日々患者さんを診ているわけですから、当然「毎日」になります。そうすると、図の一番上に位置することになります。
つまり、仕事で病気(どういった病気かは問わない)に接し、その病人(どういった症状かは問わない)との近接が高い職業である歯科医師は、感染のリスクが高い、というのが、この図の理屈です。
(中略)
ウィルスに感染した人と多く近く接することと、実際に感染することとは全く違うことは、皆さんもおわかりでしょう。感染予防対策をしっかりしているかどうか、という要素が抜け落ちてしまっているのです。ですので、この図から、歯科医師は新型コロナウィルスに感染しやすいと結論付けるのは明らかに間違っていること、おわかりいただけるかと思います。
神奈川県歯科医師会

つまり、日本国内でも報道のあった「歯科医院は新型コロナウイルスの感染リスクが高い!」というものは、歯科医院が行っている感染症予防について完全に無視しており、決して正しい情報とは言えないのです。実際に、現在まで歯科医院がクラスターになった事例などは報告されていませんし、他の業界と比較して「感染リスクが高い」などとは言えないのではないでしょうか。

こういった報道があったことにより、歯科医院は危険な場所…という誤解を持ってしまった人は非常に多く、現在歯科医院の受診は控えた方が良いと考えている方は多いかもしれません。しかし、歯科の病気は【予防・早期発見・早期治療】が非常に重要だということは忘れてはいけません。もちろん、中には「不急の治療」というものもありますので、そういった場合は受診を延期するという判断も正しいと思うのですが、ご自身で「不急」と判断するのではなく、歯科医院と相談の上で今後の通医院計画を立てるようにしましょう。

当院での対策

それでは最後に、高橋衛歯科医院で行っている感染予防対策について簡単にご紹介しておきます。
そもそも当院では、コロナが蔓延しても、していなくても常日頃から徹底した院内感染対策を行っています。幸いにして岩手県では、現在でもコロナウイルスの感染者がゼロなので、防護服を着用するなど完全防備での診療などは行っていませんが、以下のような感染予防対策に着手しています。

  • 歯科用ユニット(大きな滅菌できない機械)は患者様ごとに消毒薬で清拭消毒を行っています。
  • 小器具は患者様ごとに全て滅菌、もちろんタービンやエンジンの切削器具も患者様ごとに全て滅菌しています。
  • 消耗品は全てディスポのものを使用し患者さんごとに交換しています。(もちろんドクター、スタッフのグローブも全て)
  • 技工室に持っていくものは全て滅菌→無菌化したものを使用し、歯科技工士が作業しています。
  • 技工物も全て消毒したものを患者様に装着します。
  • 院内の空気清浄のため、医療機関専用のウィルスを99.9%カットする超高性能の空気清浄機を部屋に広さに応じて3台設置しています。
  • マリオスでインプラントの手術をする全ての患者さんは感染症の血液検査を必ず行い(患者さんに協力していただき)手術室の汚染、院内感染を予防しています。
  • 手術室の空調は陰圧にし、清潔な環境で手術を行っています。

上記の感染予防対策は、あくまでも一例で、他にも有効とされている感染予防対策を徹底して行っています。

なお、当院での診療を受ける際には、受付での問診と検温で患者様のスクリーニングを行い、熱がある人や県外に行ったりしている人は(家族も)治療延期をお願いしています。

> 新型コロナウィルス感染予防のための問診と体温計測について

現在、医療物資が手に入りにくい状況が続いていますが、これまで以上に上記の院内感染対策を全員が常日頃より気をつけて徹底して行っています。また、院外での感染を防ぐためにも、自分たちの日頃の行動にも細心の注意払っていきます。
治療の際には、来院する患者様が、全員感染者だと思って消毒・滅菌、感染予防を徹底して行ってまいりますので、無理に歯科医院の受診を控えるのではなく安心して受診してください。

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