歯科治療

歯医者での根管治療の土台作りは痛い?治療方法と痛みの原因・対処法を解説

投稿日:2024年4月10日 更新日:

根管治療で行う「土台作り」ですが、土台によって歯が長持ちするかが大きく変わってくると言っても過言ではありません。

しかし、これから根管治療を受ける予定のある方で、土台作りで痛みを感じるのではないかと不安な人も多いのではないでしょうか。

本記事では、根管治療における土台の種類や治療の痛みについて解説します。

結論として、土台作りではそれほど痛みを感じないことがほとんどですが、他の要因で強い痛みを伴う可能性があり、土台の種類によっても痛みを感じる原因となるのです。

詳しく解説しますので、治療の理解を深めていただけたらと思います。

根管治療とは

根幹治療とは

根管治療は、歯の神経にまで進行した虫歯に適応される治療で、「根っこの治療」「歯の神経の治療」とも呼ばれます。

根管内にある虫歯に感染した歯の神経や血管を除去し、根管内の清掃や洗浄、消毒などを行い、根管内の痛みや炎症などを抑えます。

そして、将来的な感染を防ぐため、根管に詰め物をする治療法です。

根管治療は歯を長期間残すために必要な治療

歯の中には「歯髄」と呼ばれる神経や血管を含む組織があります。

虫歯が重度まで進行してしまい、歯髄が感染したり、壊死したりして、歯の根っこの部分だけ残るようになると、「抜歯しかない」と言われるケースが多いです。

しかし、根管治療を行えば歯を残せる可能性があり、機能面や審美性も回復します

根管治療は自身の歯を長期間保持するために欠かせない治療法なのです。

根管治療の流れ

根幹治療の流れ

根管治療は、主に以下の流れで進めていきます。

  1. 汚染された神経(歯髄)を取り除く
  2. 薬液による根の中の洗浄
  3. 細菌が入らないよう仮蓋をする
  4. 根管充填
  5. 土台と被せ物をする

根の治療の他に、その上に被せる歯のを形成する必要もあるため、6〜7回程度の通院が必要になるケースが多いです。

根管治療の治療期間は、通院で間を入れることも考えると、6〜7週間程度かかると言われています。

治療の流れを詳しく見ていきましょう。

①汚染された神経(歯髄)を取り除く

通常は局所麻酔で治療を始めます。

そして、感染した歯髄を除去して、ファイルという器具で根管をきれいにします。

そして、汚染された歯の壁部分を取り除き、しっかり薬が詰められる状態にします。

②薬液による根の中の洗浄

根管内の掃除が終わると、根の中に薬品を入れ、殺菌・洗浄します。

根管内部には、目で見えない小さな菌が無数に存在するため、この菌を徹底的に洗浄することで、細菌のリスクを減らせるのです。

③細菌が入らないよう仮蓋をする

歯の根の中に薬品を隙間なく詰めてたら、細菌が入らないよう仮蓋をします。

根の中に空気が入らないよう、圧力をかけながら薬を詰めなければなりません。

完全に消毒できるまで数回繰り返す必要があります。

④根管充填

根管内の消毒が終わると、再び感染しないよう隙間なく詰め物をします。

殺菌作用のある薬剤と「ガッタパーチャ」と呼ばれるゴムのような素材を根管内に詰め込みます。

⑤土台と被せ物をする

根管の治療が終わったら、土台と被せ物をして歯冠修復処置を行います。

根管治療で歯質をほとんど取り除いた場合、失った部分にクラウンを被せますが、そのままでは被せることができないため、「コア」という土台を作り、失った歯根部を補強する必要があるのです。

根管治療の土台作りとは

根幹治療の土台作りとは

先述しましたが、根管治療をした歯は、歯茎から栄養をもらえなくなり、他の歯と比べてもろく割れやすくなるため、歯の神経のあった部分に人工の歯の土台(コア)を作る必要があります。

歯の土台(コア)とは神経を治療した歯が割れないようにするために補強する材料です。

歯の内部を割れにくい材料である土台(コア)で埋めてから、クラウンを被せ、歯の寿命を伸ばすようにします。

根管治療には土台(コア)が重要

歯の土台(コア)は、補綴物の内側に隠れて見えなくなってしまうものですが、自分の歯を長く使えるようにするために重要な役割を担っており、どんなに質の良い被せ物を被せたとしても、土台が悪ければ全く意味がありません。

コアは一度装着すると外すのが非常に困難で、無理に外そうとすると歯が割れ、最悪の場合抜歯になるケースもあります。

そのため、「土台(コア)はやり直しのきかない治療」だと言えるでしょう。

後悔しないためにも、土台の素材はよく吟味する必要があります。

根管治療に使われる土台(コア)の素材

根幹治療に使われる土台(コア)の素材

根管治療後の土台に使われる素材は、主に以下の種類があります。

  • メタルコア
  • レジンコア
  • ファイバーコア

それぞれ特徴や費用が異なるので、予算を考慮しながらご自身に合った土台を選ぶ必要があります。

それぞれの特徴を見ていきましょう。

メタルコア

メタルコアは、保険治療で一般的によく使用されている金属の土台で、保険適用されるため、安価である点がメリットです。

メタルコアは硬くて強度があるのが特徴となっていますが、硬すぎてまれに割れてしまうことがあります。

さらに、他の素材と比較すると、歯を削る量が多いため、歯の寿命を縮める原因にもなります。

また、メタルを使用する土台のため、金属アレルギーの人にはあまりおすすめできません。

【メタルコアのメリット・デメリット】

メリットデメリット
・多くの症例で使用可能
・多くの実績がある
・保険適用のため安価
・硬すぎるため歯根破折の恐れがある
・金属が透けてしまうことがある
・金属アレルギーの原因となる場合がある
・弾力性に欠ける

レジンコア

レジンコアは、プラスチック製の土台で、こちらも保険適用がされるため、よく使われる素材です。

レジンコアは色が白く、クラウンを被せたときに見た目が良くなるというメリットがあります。

また、歯を削る量が少なく、歯が割れる(歯根破折)の危険が少ないです。

ただし、メタルコアと比較すると強度が弱いため、口腔内の状態が悪い場合や奥歯などでは使用できないケースもあります。

【レジンコアのメリット・デメリット】

メリットデメリット
・保険適用で比較的安価
・長期間使用しても歯ぐきが黒ずむ心配がない
・歯を削る量が少ないため歯根破折のリスクが少ない
・色が歯と似ているため審美的に優れる
・歯の状態によっては使用できない
・強度が弱く口腔内の状態が悪い場合や奥歯には使用できない場合がある
・治療の成功が歯医者の技術力に左右される

ファイバーコア

ファイバーコア

ファイバーコアは、コアの内部にファイバーの芯を入れて補強したプラスチックの土台で、レジンコアの強度を補う目的で開発されたものです。

メタルを使用していないので、金属アレルギーの方でも心配ありません。

ファイバーコアは強度が強く、割れにくい点や、見た目が白く審美的に優れている点がメリットです。

ただし、ファイバーコアは保険が適用されないため、ほとんどが自費診療となります。

【ファイバーコアのメリット・デメリット】

メリットデメリット
・歯を削る量が少ないため歯根破折のリスクが少ない
・硬さや弾性が歯とほぼ同じ
・天然の歯に近い透明感や色が再現できるため審美的に優れる
・強度があり耐久性に優れる
・金属アレルギーの心配がない
・歯の状態によっては使用できない
・自費診療となるため値段が高い

根管治療で土台を作るのは痛い?治療の痛みの原因と対処法

根幹治療で土台を作るのは痛い?

根管治療で気になるのは「痛み」であり、特に、土台を作るときに強い痛みを感じるのではないかと不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

ここでは、根管治療後の痛みの原因と対処法をご紹介します。

結論として、歯の神経のあった中心部分に人工の土台(コア)を作る際は多少の痛みを感じることがあるかもしれませんが、心配するほど強い痛みではないケースがほとんどです。

しかし、根管治療後は様々な理由で痛みを伴う場合がありますので、詳しく見ていきましょう。

根管治療後に感じる痛み

根管治療後は、ズキズキとするような痛みが続く場合がありますが、歯茎や顎の骨に残った膿を排出させるため、免疫が活発になることで生じる痛みで、膿を出し切ると痛みは落ち着き、通常3日程度でほとんど痛みがなくなります。

また、歯医者で痛み止めや必要に応じて抗生剤を処方してもらえるため、痛みを感じる場合は我慢せずに使用すると良いでしょう。

3日以上経過しても痛みがなくなる気配がない、痛みで日常生活に支障をきたす場合は、歯医者を受診するのをおすすめします。

根の中に汚れが残っているときの痛み

根の中に汚れを残したままでいると、痛みがとれない場合があります。

それだけでなく、再感染を起こしてしまう恐れもあるのです。

この場合、再び根管治療を行わなければいけなくなり、麻酔をして痛みを軽減させてから治療を行います。

治療後に噛んだときの痛み

治療後に噛んだときの痛み

根管治療後、歯にものが当たったり咬んだりしたときに痛みを伴う場合があります。

これは、歯を支える組織が炎症を起こしている可能性が高いです。

普通に噛んでも痛みがあるときは、歯医者で歯の噛み合わせを調整してもらうと噛むときの刺激がなくなり、楽になるでしょう。

痛みが強い場合は痛み止めを服用します。

治療後に腫れとともに生じる歯茎の痛み

根管治療後に歯茎の腫れや痛みが出ることがあります。

これまで歯の中に細菌が多くあったため、根の先に膿が溜まっており、治療によって今まであった膿を出し切るときに腫れと痛みが生じるのです。

この場合、抗生物質で細菌を殺菌し、痛み止めで痛みを緩和します。

根の中に薬を詰めた後の痛み

歯の根の中を消毒してきれいにした後、細菌が入らないよう根の中に最終的な薬を詰めます。

このとき、根の中に空気が入らないように圧力をかけながら薬を詰めるので、その刺激により薬を詰めた後に痛みが出ることがあるのです。

通常3日〜1週間程度で痛みが治りますが、痛みが強ければ痛み止めを服用します。

痛みがひくまで治療中の歯で噛まないようにすると良いでしょう。

虫歯の再発・破損による痛み

虫歯の再発・破損による痛み

根管治療後に虫歯が再発したり破損したりしたときに痛みを感じることがあります。

この場合、根管治療または外科的な治療を受けなければならなくなります。

再び根管治療が必要になる症状は主に以下の通りです。

  • 根管治療後数ヵ月、または年単位で違和感が残り、思うように噛めない
  • 治療後の痛みはひいたものの、痛みや腫れが再発した
  • 痛みはないが治療した歯の歯肉から膿が出ている

痛みや腫れを長時間感じる場合、放置せずに歯医者に相談しましょう。

土台(コア)が硬すぎて歯根破折することにより感じる痛み

歯は、食事のときや歯ぎしり・食いしばりの際に、様々な方向から大きな力がかかります。

一般的に使用されている土台であるメタルコアは金属で丈夫ですが、硬すぎて強い力がかかったときに割れる(歯根破折)場合があります。

この場合、歯の保存が難しい割れ方をしてしまうと、抜歯になるケースもあるので注意が必要です。

それを防ぐために、本物の歯と硬さやしなり具合が似ているファイバーコアを使用すれば、歯が受け止める力が分散され、歯が割れるリスクを軽減させることができます。

歯医者の根管治療の失敗による痛み

根管治療は歯科の中でも難しい治療で、失敗する可能性もゼロではありません。

根管治療が失敗する原因として、大きく以下の3つがあります。

  • 細菌が多く残っている
  • 根管内に穴が空いている
  • 根管充塡や被せ物に隙間があった

万が一、根管治療がうまくいかなければ、痛みや腫れ、炎症が起こるリスクがあり、再び根管治療を行うか抜歯となるケースもあるのです。

そのため、設備が整っている、根管治療の経験が豊富など、信頼できる歯医者で根管治療をするのがおすすめです。

自分に相応しい土台を選んで根管治療を成功させよう

自分に相応しい土台を選んで根幹治療を成功させよう

これから根管治療を受ける予定のある方、過去に根管治療を受けて痛みを感じた経験のある方は、痛みについて不安を抱いているかと思います。

今回紹介しましたように、根管治療は歯の神経に関わる治療のため、痛みを感じやすく、様々な要因で痛みを感じるケースがあります。

ですが、治療前の麻酔で治療中の痛みはほとんどなくなりますし、治療後も鎮痛剤の処方で痛みを緩和させることが可能です。

ただし、土台(コア)には様々な種類があり、根管治療で使う土台の種類や歯医者の技術不足によって予期せぬ痛みを伴う場合があるため、信頼できる歯医者に相談し、適切な土台を作って根管治療を成功させましょう。

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