「前歯に差し歯ができない」
「他に治療法はある?」
「そもそも差し歯は何でできないの?」
など、悩んでいませんか?
この記事では、「前歯に差し歯治療ができないケースとその場合の治療方法」について紹介していきます。
結論、差し歯は歯の根っこの上に土台を作り、被せ物をするので、歯の根っこが残っていないと、差し歯はできません。
他にも「差し歯治療の特徴」や「差し歯治療の治療期間や費用」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考に、前歯に差し歯治療ができないケースについて理解を深めてみてください。
また「医療控除を賢く活用して、料金を抑える方法」について知りたい方は、こちらで解説を行っていますので、ぜひ確認してみてください。
前歯に差し歯ができないケース
前歯に差し歯治療ができないケースは、主に以下が挙げられます。
- 歯の根っこが残っていない時
- 歯の根っこが細かく砕けている
- 歯の根っこが複雑に割れている
- 虫歯や歯周病が原因で抜歯をした時
上記のような差し歯を入れる場所がない場合、差し歯はできません。
差し歯ができる条件としては、健常歯質が歯肉より1.5㎜以上全周に高く残っていることです。
前歯に差し歯治療が適用できない場合の治療方法
前歯に差し歯治療ができない場合に、治療方法として挙げられるのは、以下3つです。
- ブリッジ
- インプラント
- 部分入れ歯
それぞれ詳しく紹介していきます。
治療法①ブリッジ
ブリッジは、抜歯した歯や無くなってしまった歯の両の歯を利用し、繋がった3本の義歯を作製する治療法です。
入れ歯と異なり、取り外しは歯医者でしか行うことができません。
抜けた歯の両隣の歯が残っていて、かつ健康的な歯がある時に使用されます。
費用・治療期間の目安
費用は目安として1本3,000~8,000円で、治療期間は4~5カ月です。
保険適用外の被せ物を選ぶと自費費用ですが、通常は保険適用で治療できます。
抜歯を行った際は、3カ月間隔を開け、その後ブリッジ治療を始め、2~3週間で完成します。
(※個人差があります。)
おすすめする人
ブリッジは、保険が適用され、かつ上に被せる義歯をより自然に仕上げることができます。
そのため、費用を抑えつつも、見た目を重視する人や、治療期間を短くしたい人におすすめです。
治療法②インプラント
インプラントは、抜歯などをして歯の跡がない箇所に金属(チタン)の土台(人工歯根)を外科治療で入れ込み、そこに義歯を乗せる治療法です。
ブリッジのように、左右の歯を治療に使う必要はありません。
そして、咀嚼力(噛む力)もブリッジ治療よりも高くなるのも特徴です。
「ブリッジとインプラントの違い、特徴やメリット」については、こちらで詳しく解説しています。
費用・治療期間の目安
インプラントの費用相場は1本30∼50万円程度、治療期間としては半年以上です。
保険適用外なので、費用は高いですが、被せ物を銀歯で作成すると多少費用が抑えられます。
外科手術を行うと、治癒するまでに6か月間程度治療を休まないといけません。
しかし、カウンセリング回数や骨や歯茎などの状態によって通院期間は異なります。
おすすめする人
インプラントは保険適用外ですが、上に乗せる義歯を自然に仕上げられ、咀嚼力も強く、長期間利用できます。
そのため、見た目を重視する人、噛み心地を重視する人、長期間使用したい人におすすめです。
治療法③部分入れ歯
部分入れ歯は、無くなった歯の部分に取り外しができる「人口の歯」を入れる治療法です。
抜歯して歯が無くなった部分を補うために行います。
侵襲が少ない治療なので、健康な歯を削りたくない、外科的な治療ができない場合に適用される場合が多いです。
費用・治療期間の目安
部分入れ歯は、保険適用で治療を受けると1本7,000~15,000円、治療期間は半年程度が目安となります。
3~4回程度の受診で入れ歯を作製し、1~3カ月の調整期間が必要です。
おすすめする人
部分入れ歯は、保険が適用されるため、安価で治療が受けられます。
そのため、費用を抑えたい方や、治療期間を短くしたい人におすすめです。
差し歯治療の特徴
差し歯治療は、何らかの理由で歯の根っこの部分だけが残ってしまった場合に適用されます。
根っこに土台を入れ、その上に被せ物「差し歯」を被せるという治療法です。
差し歯の種類は、「プラスチック」と「セラミック」の2種類あり、「見た目・費用・耐用年数」が異なります。
差し歯治療で保険が適用されるものとされないもの
差し歯の治療で保険が適用されるかどうかは、使用する素材によって判断されます。
保険適用の差し歯 | ・プラスチック製 ・金属製 |
保険適用外の差し歯 | ・ジルコニア ・ジルコニアセラミック ・セラミック |
前歯の差し歯治療の特徴
前歯は、奥歯などの見えにくい歯と違い「見せる治療」が実施されます。
周りの歯と違和感がないよう「色合い・差し歯・土台・歯茎」に負担がかからない嚙み合わせや、差し歯を長持ちさせる工夫がされています。
差し歯にはオールセラミックとプラスチックの2種類あり、それぞれ特徴を紹介します。
オールセラミックの場合
前歯に最適な差し歯の1つに、オールセミラッククラウンというものがあります。
オプションとして以下3つの種類があり、それぞれ審美性と強度が異なります。
- ジルコニア
- ニケイ酸リチウム(e.max)
- フルジルコニア
審美性が良好として挙げられるのは、ジルコニアやニケイ酸リチウムで、フルジルコニアは強度が高いです。
なかでも、審美専門の技師が色合いを上手に再現してくれる「ジルコニア」は、前歯に特化した治療法です。しかし、強度が低いのが難点とされています。
プラスチックの場合
プラスチックの差し歯は、金銀パラジウム合金が土台に使用されており、そこにレジンという白い樹脂が盛り付けられています。
前歯の差し歯治療で唯一保険が適用される治療法です。
しかし、レジンは経年劣化しやすく、金銀パラジウム合金は腐食してしまうため、汚れが付きやすいです。
そのため、歯茎が退縮してしまうと使用している金属が黒く目立ってしまう、盛り付けたレジンが欠けてしまう場合もあるので注意しましょう。
前歯の差し歯治療の治療期間と費用相場
一般的に、差し歯の治療は以下の流れで進みます。
- 歯の神経を除去した場合、土台を立てる
- 歯を一層削る(歯の厚さの調整)
- 歯型を取る
- 被せ物をセットする
治療中に仮歯を使用する場合、最終的な被せ物の形態や色合いが目安になります。
仮歯期間中に不具合(色の不一致・噛み合わせ・唇を閉じる際の厚みなど)が生じた場合は、早めに歯科医に相談しましょう。
治療期間の目安
土台や被せ物を歯科医技工所で製作するため、複数回通う必要があります。
上記で流れを述べたように、工程が多いため、治療期間が長くなる場合もあります。
治療する本数が少ない場合でも、治療回数は最低でも2回、土台を立てる場合は+2回以上を想定しておきましょう。
治療を完成させたい期限や、具体的なゴールがある場合は、その旨を治療前にきちんと伝えておくことも大切です。
費用相場
差し歯には、保険が適用されるプラスチック製と、保険適用外のセラミック製の2種類あります。
この2つの費用相場は以下の通りです。
費用相場 | |
プラスチック製 | 5,000~8,000円 |
セラミック製 (自費診療) | ・ジルコニウム:15万円程度 ・ニケイ酸リチウム(e.max):13万円程度 ・フルジルコニア:13万円程度 |
上記の本体料金に別途費用がかかるものとして挙げられるのは、以下の通りです。
- 仮歯
- 再診料
- 虫歯治療
- 古い被せ物の除去
- 歯根の治療
- 土台の作製
前歯の差し歯治療で後悔しないためのポイント
前歯の差し歯治療で後悔しないために、以下のポイントをクリアできているかチェックしてみましょう。
- 他の歯との色味を調整する
- 噛み合わせとチェック
- 歯科医に自分の希望を伝える
これらが整わないと、治療後の満足度が得られにくいでしょう。後悔しないためのポイントについてお伝えしていきます。
他の歯との色味を調節する
歯の中でも1番目につく前歯は、「大きさ・形・歯列」の美しさに加えて、色も印象が残る要素です。
色見本だけでは完璧な色合いにはならないので、周囲の歯の色味を写真などで確認しながら、違和感のない色味にしていきます。
なかでも自然な歯の質感を再現しやすいのは、セラミック製の差し歯です。
値段は安くありませんが、治療後の後悔するリスクは低いでしょう。
噛み合わせをチェック
差し歯が完成に近づくと、実際に被せて最終の調整を行い、高さや横の歯との接触具合をチェックします。
噛み合わせが悪いと、歯茎や前歯の土台に負担がかかり、根っこが割れてしまう原因となってしまいます。また、噛んだ時にものが挟まりやすくなり、虫歯や歯周病の原因となるため、この時点できちんと確認しておきましょう。
歯科医師に自分の希望を伝える
上記で述べたように、色合いや噛み合わせ、歯との接触に違和感がある際は、歯科医にその旨をしっかり伝えるようにしましょう。
前歯の差し歯は、周囲の歯と色馴染みが良くないと、差し歯だけが変に目立ってしまいます。
噛み合わせや横の歯との接触具合も、差し歯の破損や土台の根っこが割れてしまったり、ぐらついてしまったりする原因となります。
そして、前歯の差し歯治療が他の治療を招いてしまわないように、歯科医と慎重に話し合いましょう。
前歯の差し歯治療に関するQ&A
差し歯はホワイトニングできる?
差し歯は、歯医者のホワイトニングの薬剤で白くすることは難しいです。
保険適用で治療した差し歯の場合、土台や裏側に金属が使用されていることが多いので、治療から年数が経過すると、差し歯が変色してしまいます。
そのため、差し歯を自費で「セラミック製」に新しく作り変える人も多いです。
差し歯が取れた時、他の歯医者でも治療可能?
別の歯医者でも治療可能です。
土台となっている歯の状態が良く、差し歯に問題が無ければ、そのまま付け直せる場合があるので、捨てずに治療まで保管しておきましょう。
取れた状態で長い期間そのままにしていると、歯の根っこ部分が虫歯になりやすいです。
進行してしまうと、差し歯を戻せなくなってしまうこともあるため、早く治療を受けるようにしましょう。
まとめ
上記では、前歯の差し歯治療ができないケースや、差し歯以外の治療方法、前歯の差し歯治療に関して紹介してきました。
前歯の差し歯治療ができないケースについては、主に以下が挙げられます。
- 歯の根っこが残っていない時
- 歯の根っこが細かく砕けている
- 歯の根っこが複雑に割れている
- 虫歯や歯周病が原因で抜歯をした時
前歯に差し歯治療ができないときの治療法を把握しておけば、自分の要望に合った治療を受けることができるでしょう。