失った歯を補うための治療法に「ブリッジ」がありますが、どのくらい長持ちするのか気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ブリッジの寿命や長持ちさせる方法、ブリッジが治療できない場合の対処法について解説します。
結論として、ブリッジ治療は保険適用で行えるため、費用はそれほどかかりませんが、永久に使えるわけでなく、使い方や口腔内環境によっては早期に再治療が必要になる場合があるのです。
ブリッジ以外に入れ歯やインプラントなどの治療法もあるため、それぞれの寿命やメリット・デメリットについても説明していきます。
何らかの理由で歯を失ってしまった方は、ぜひこの記事を参考に、自身に合った治療法について吟味していただけたら幸いです。
ブリッジ治療とは
ブリッジ治療は、何らかの理由で歯を失ったときの審美性や機能性を回復させるための治療法です。
歯を失った部分の両隣の歯を削り、それを土台にして一体型の上部構造を装着するもので、歯と歯の間に橋を渡すようにして取り付けていることから、名付けられています。
ブリッジは、歯を削るだけなので外科手術をせずに治療ができ、保険適用も可能です。
ブリッジの平均寿命
ブリッジ治療で作られた歯は、一度治療したら永久に使い続けられるわけではありません。
ブリッジの平均寿命は、約7〜8年です。
ただし、寿命には個人差があり、以下によっても寿命が大きく左右されます。
- 口腔内の環境
- ブリッジを装着した場所
- 噛み合わせ
- 手入れの仕方
また、保険治療で作られたブリッジは費用は安く済みますが、審美性に劣るほか、経年劣化しやすく、年数が経過すると外れてしまったり土台となる歯が虫歯になりやすくなったりするため、注意が必要です。
寿命がきたブリッジは再治療できる?
ブリッジ治療のあと、以下のようなケースで再治療が必要になることがあります。
- 経年劣化でブリッジが外れた
- 土台となる歯が虫歯になった
- 土台となる歯が割れたり折れたりした
経年劣化だけでなく、歯磨きなどの口腔内ケアを怠れば、ブリッジが劣化したり、むし歯や歯周病になったりする恐れがあり、その場合、一度古いブリッジを外して再治療となるのです。
ただし、再治療を行うにあたって、注意しなければならない点がありますので、いくつかご紹介します。
再治療でブリッジを選べない場合がある
ブリッジ治療は、失った歯の両隣を土台として治療を行うため、土台となる歯が必ず必要です。
しかし、例えば1番奥の歯が土台となっていて、その歯が虫歯などでダメになってしまったら、土台とする歯がなくなるため、ブリッジ治療が選べなくなります。
歯の神経がない場合長持ちしない
土台となる歯がむし歯や歯周病になり、進行してしまって神経を抜くことになった場合、ブリッジの再治療を行っても長持ちしません。
なぜなら、神経は歯に栄養を送る重要な部分であり、神経を失うと歯に栄養が届かなくなり、もろくなってしまうからです。
弱くなった歯に、さらにブリッジの負荷までかかると、当然ブリッジは長持ちしません。
そのため、他の治療法を選択しなければならなくなります。
歯の寿命が短くなる
古いブリッジを外して新しいブリッジを被せる際、再び土台となる歯を削らなければならなくなります。
つまり、再治療を繰り返すたびに土台となる健康な歯を削って小さくするため、土台の歯の寿命がどんどん短くなってしまうのです。
土台の歯が小さくなれば、ブリッジを支えるときの負担も大きくなるため、さらに寿命が短くなります。
そのため、歯を失ったからといって、何度もブリッジ治療を行えるわけではありません。
ブリッジを長持ちさせるコツ
治療を終えたらそれで終わりではなく、その後の手入れをしっかりと行うことが大切です。
ブリッジを長持ちさせるためには、以下の対策をとりましょう。
- 歯磨きの仕方を工夫する
- 専用グッズで手入れをする
- 歯ぎしりや食いしばり対策をする
- 定期的に歯科医院でメンテナンスを受ける
それぞれ詳しく説明していきます。
歯磨きの仕方を工夫する
ブリッジを長持ちさせるためには、虫歯や歯周病を予防することが大切です。
ブリッジと歯茎の間に汚れが溜まりやすく、虫歯になりやすいため、磨き残しがないよう丁寧にケアします。
強い力で歯を磨くと歯茎を傷つけてしまうため、力の入れ過ぎに注意しましょう。
また、ブリッジは治療すると自分では取り外しができないので、ブリッジと土台となっている歯の境目もしっかりと磨いてください。
専用グッズで手入れをする
前述しましたように、ブリッジと歯茎の間は汚れが溜まりやすく、磨き残しがないよう丁寧なケアが必要になりますが、歯ブラシだけでは完全に落とせない汚れもあります。
隙間や境目を綺麗にするために、以下の専用グッズを使うのがおすすめです。
- 歯間ブラシ
- デンタルフロス
ブリッジは取り外せないからこそ、少しでも長持ちさせるために隙間や境目をより丁寧に磨きましょう。
歯間ブラシ
歯間ブラシは、歯と歯茎の間の汚れを除去する歯ブラシで、歯の隅々まで綺麗にするのに役立ちます。
ブリッジと歯肉の間から歯間ブラシを差し込み、ブリッジの底を磨きましょう。
デンタルフロス
デンタルフロス(糸ようじ)は、歯ブラシでは取れない歯と歯の間の汚れを取るための細い糸でできた道具です。
ブリッジを長持ちさせるためには、通常のデンタルフロスよりも先端が硬くなっていて、スポンジが備わっているブリッジ専用の「スーパーフロス」を使うのが良いでしょう。
スーパーフロスを使うと、ブリッジ歯の下の隙間に直接フロスを通せるので、見えづらい部分や汚れが溜まりやすい部分でもしっかりケアできます。
歯ぎしりや食いしばり対策をする
歯ぎしりや食いしばりが強い場合、無意識に非常に強い負荷がブリッジや土台の歯にかかってしまいます。
継続して負荷がかかってしまうと、ブリッジの破損に繋がり、再治療を行わなければなりません。
歯ぎしりや食いしばりは自分では気付きづらいものなので、気になる方は歯科医院に相談してみましょう。
また、就寝時につけるマウスピース(ナイトガード)を使うのも有効です。
定期的に歯科医院でメンテナンスを受ける
丁寧に歯磨きや専用グッズを使用してのケアを行っていても、磨き残しが生じてしまいます。
そのため、2、3ヶ月に1回程度、歯科医院でメンテナンスを受けるのがおすすめです。
歯科医院ではブリッジや歯の隙間や境目の汚れをチェックしてもらえるほか、専用の機器を用いて歯のクリーニングも行ってもらえます。
虫歯や歯周病の予防ができるため、結果的にブリッジの持ちも良くなるでしょう。
また、人工物であるブリッジは噛み合わせも変化しやすいため、メンテナンスの際に噛み合わせをチェックしてもらい、必要があれば調節してもらうのがおすすめです。
ブリッジ以外に歯を失った部分を補う方法
ブリッジ治療は他の健康な歯を削らなければならないため、歯の寿命が短くなるほか、口腔内の状況によっては、再治療が行えないケースもあるのです。
その場合、他の治療法を検討する必要がありますが、歯を失った部分を補う方法として考えられる治療法には、ブリッジ以外に以下2つがあります。
- 入れ歯
- インプラント
それぞれの治療法や平均寿命などについて説明していきますので、自身に合う治療法を見つけましょう。
入れ歯治療とは
入れ歯治療は、歯を失った部分を人工的な歯で補って審美性や機能性を回復する治療法です。
入れ歯には、大きく分けて以下の2種類があります。
- 部分入れ歯(一部の失った部分を補う入れ歯)
- 総入れ歯(全ての歯を失った場合に使用する入れ歯)
入れ歯は、歯を失った部分の隣に健康な歯がない場合や多くの歯を失ってしまった場合、また、何らかの理由でブリッジ治療を行えない場合でも治療が可能です。
入れ歯の寿命
保険治療で作られた入れ歯の寿命はおよそ5年程度とされており、意外と短いです。
入れ歯を長く使用すると、経年劣化によって適合しなくなったり、不具合を起こしたりする可能性が高くなります。
特に、保険適用の入れ歯はレジンという吸水性の高い素材で作られるため、長く使い続けると変形はもちろん、着色汚れなども目立つようになるでしょう。
そのため、ブリッジから入れ歯に治療法を変えたとしても、長持ちさせるのは難しいです。
インプラント治療とは
インプラント治療は、歯を失った場所にインプラント体を埋め込み、人工歯(上部構造)を装着する治療法です。
歯があった時と同じ状態に回復できるのがインプラント治療の特徴で、治療によって審美性が回復し、ものをしっかり噛めるようになります。
ただし、インプラント治療は基本的に保険は適用されず、自由診療となるため、費用は高額です。
インプラントの寿命
インプラントの寿命は平均10〜15年と、入れ歯やブリッジと比較しても長めです。
使用するメーカーや、インプラントを埋め込む場所や口腔内環境によっても変わってきますが、約9割の人が10年後もインプラントを使い続けており、長期的に機能させた例が多く報告されています。
保険治療の他と比べて治療費は高くなりますが、長く使い続けられると再治療を行う必要がなく、ブリッジのように他の健康な歯の寿命を縮める心配もありません。
入れ歯・ブリッジ・インプラント、自分に合った治療法は?メリット・デメリットを解説
歯を補う治療を行う場合、長持ちさせるためにも治療法を吟味する必要がありますが、ご紹介した通り、歯を失った際にできる治療法は以下の3つです。
- 入れ歯
- ブリッジ
- インプラント
それぞれの違いはこちらです。
入れ歯 | ブリッジ | インプラント | |
---|---|---|---|
違和感 | 感じやすい | ほとんどない | なし |
審美性 | 部分入れ歯は留め具が見える、総入れ歯はズレたり外れたりする | 素材によって異なる | 良い |
他の歯への影響 | 部分入れ歯は支えている歯に負担がかかる | 両隣の歯を削る | なし |
噛む力 | 噛む力が劣る | 噛みにくいことがある | 天然歯と変わらない |
保険適用 | あり | あり | なし |
それぞれのメリット・デメリットについて詳しく説明します。
入れ歯のメリット・デメリット
入れ歯の主なメリットとデメリットはこちらです。
メリット | デメリット |
---|---|
・ほとんどの歯科医院で受けられる ・保険治療で作れる ・取り外してメンテナンスができる | ・金具部分が目立つ ・支える歯に負担がかかる ・装着の違和感を感じやすい ・発音がしづらい ・歯がない部分の骨が痩せてしまう ・外れやすい ・噛む力が弱くなる |
入れ歯は保険治療のため、歯を失った場合でも比較的安く治療できますが、上記のように多くのデメリットがあります。
選択肢を1つに絞る前に、それぞれの特徴をしり把握しておきましょう。
ブリッジのメリット・デメリット
ブリッジの主なメリット・デメリットはこちらです。
メリット | デメリット |
---|---|
・装着の違和感がない ・入れ歯よりも強く噛むことができる ・保険治療で安く治療できる ・自費診療で天然の歯と差異ないものが作れる | ・健康な歯を削る必要がある ・土台となる部分に負担がかかる ・歯がない部分の骨が痩せていく場合がある ・隙間に食べ物が挟まりやすく虫歯や歯周病になるリスクが高い ・発音が難しくなる場合がある |
他の治療法とは違い、他の健康な歯を削らなければならないのがブリッジのデメリットです。
また、ブリッジ治療は歯が残っている場合にのみできる治療法なので、全ての歯を失っているときは治療できません。
インプラントのメリット・デメリット
インプラントの主なメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
・天然ば歯と同じように噛める ・周囲の歯に負担がかからない ・天然な歯と変わらない見た目を手に入れられる ・顎の骨が痩せるのを防げる | ・外科手術を伴う ・治療費が高額になる ・適応できない症例がある |
インプラント治療は保険適用外で治療費が高額になりますが、天然歯とほとんど変わらない見た目や噛み心地を得られるでしょう。
他の2つと比較して、寿命も長いため、長く使いたい人に向いています。
ブリッジの寿命を伸ばすメンテナンスやケアが不可欠!他の治療法も検討しよう
ブリッジの平均寿命は、約7〜8年とされており、虫歯や歯周病、噛み合わせなどによっても大きく左右されます。
ブリッジを長持ちさせるためには、正しいケアと定期的なメンテナンスが欠かせません。
ブリッジが劣化して破損すると再治療となりますが、場合によっては治療できないケースもあります。
ブリッジ治療を受ける際は、治療やメンテナンスについて医師に相談することが大切ですし、もし治療法が決まっていない場合は、寿命が長く、審美性や機能性に優れるインプラントも検討してみましょう。