虫歯などで抜歯する時、歯医者さんから「インプラント」をおすすめされて気になっている方もいるでしょう。
インプラントは自由診療になるため治療費は高額です。
しかし入れ歯やブリッジよりも将来的に歯を保ちやすくするため、患者側にもメリットが多い治療法として注目されています。
この記事では、インプラントの治療期間、通院回数、歯がない状態を維持する期間など基本的な情報をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
インプラントで歯がない期間はどのくらい?
もともと歯が生えていないのであればすぐに人工歯を作成できますが、抜歯をしたり、何かしらの理由で歯が抜けてしまったのであれば3〜6ヶ月ほどの期間が必要です。
歯が抜けたのであれば、出血をしていたり、傷口が大きく開いていたりします。
そこで感染症のリスクを減らし、インプラントのネジを埋めるために骨を頑丈にしなくてはなりません。
しかし歯がない部分をそのままにして安静期間を設けてしまうと、周りの歯の位置がズレる可能性があります。
そのため仮歯などで周囲の歯を固定するケースも多いです。
インプラントの治療期間はどのくらい?
インプラント手術そのものは1〜2日で終了しますが、トータルの治療期間は3か月〜1年間と言われています。
ここまで長くなるのは、埋め込んだ人工歯と顎の骨が完全に結合するまでにはある程度の時間を要するためです。
また手術前に虫歯や歯周病を治す必要があることが関係します。
さらに顎の骨に厚みが足りないと判断された場合は、アフタートラブルを防ぐためにも骨の造形手術が必要です。
その場合は追加で4〜5か月の治療期間が必要となります。
前歯インプラントの期間
前歯インプラントの期間は3か月〜1年が目安です。
以下の理由から、前歯インプラントは難易度が高いと言われています。
- 奥歯に比べてアゴの骨が薄い
- 歯茎が下がると見た目が悪くなる
- 費用が高くなる
前歯に十分な骨があれば、2〜3ヶ月ほどで治療は完了します。
しかし厚さが足りなければ骨再生療法などを行うため、半年ほど追加で必要です。
奥歯インプラントが簡単というわけではなありません。
前歯インプラントの方が難易度は高くなるため、診察時から慎重に行われます。
奥歯インプラントの期間
奥歯は前歯よりも骨がしっかりとしているケースが多いため、2か月〜1年ほどの期間で完了するのが一般的です。
虫歯や歯周病が残っているのであればそちらも先に治さなくてはなりません。
それでも、前歯インプラントよりは治療期間が短くなるケースが大半です。
インプラントの流れ
インプラントの流れは、主に以下のとおりです。
- 診断・検査
- 治療
- インプラント埋手術
- 人工歯装着
- メンテナンス
それぞれの流れについて解説します。
診断・検査
まず行われるのが診断や検査です。
インプラント治療は大きな施術になります。
そのためどのように人工歯を埋め込むかを決めるための診断・検査が必要です。
- 口内と全身の健康状態
- 喫煙歴
- 虫歯・歯周病
- 噛み合わせ
中でも、残存歯や顎の骨の状態を確認することが大切ですので、レントゲンやCTなどの機械的な検査によって、分析して正確に状態を確認します。
治療
診断・検査が終わって、すぐにインプラント手術に進める場合と、以下のような治療が必要なケースがあります。
- 残存歯の虫歯、歯周病の治療
- 残存歯の状態が悪いのであれば抜歯
- 喫煙指導
- 歯磨き指導
これらのトラブルを先に解決しておくことで、インプラント治療の成功率が大きく変わります。
場合によってはインプラントの治療までに長い期間が必要です。
インプラント埋手術
インプラント埋手術は1〜2日で終了します。
1回と2回で施術回数が異なるのは、人によって状態が違うからです。
1回法 | 2回法 |
身体的な負担を最小限に抑えたい方短期間で施術を終えたい方インプラントが粘膜の上に露出することに問題がない方 | 感染リスクが高い方インプラントを露出させたときに骨との結合が阻害されるリスクが高い方 |
どちらの方法にするかは、患者の意思というよりは、医師の判断が優先されます。
そこでカウンセリングで確認しておきましょう。
なおインプラント手術を受けた直後は、次の行為は禁止です。
- 飲酒
- 激しい運動
- 入浴
- 手術当日のうがい
- 治療した部位で噛む
- 治療した部位に触る
- 喫煙
いずれも感染症リスクやインプラントへの影響が考えられますので、十分注意しましょう。
人工歯装着
インプラントと骨の結合が完了したら、「アバットメント」と呼ばれるインプラントと人工歯を繋げて、歯の土台となるものを装着します。
アバットメントの種類は豊富です。
患者の状態や症例に合わせて最適なものを選びますが、費用も大きく異なるため、医師との相談が必要です。
装着するときには、違和感がないか、噛み合わせがしっかりとできるかを確認してから装着を完了させます。
メンテナンス
人工歯の装着が完了すれば一旦インプラント治療は終了します。
しかし周囲炎と呼ばれる感染症を引き起こさないためにも定期的なメンテナンスが必要です。
汚れの確認と除去など、メンテナンスをしっかりと行いましょう。
インプラントの骨造成の期間とは?
インプラントの骨造成の期間は、患者ごとの骨の状態によって変動します。
顎の骨が再生までの期間は4〜6か月ですが、場合によっては1年ほど必要です。
ただしインプラントの手術と骨造成を同時に行うのなら、治療期間が予定より大幅に長引くことはまずありません。
仕事や学校が不規則で規則正しく歯医者を受診するのが難しいのであれば、事前にその旨を伝え、柔軟にスケジュール管理ができるように調整してもらいましょう。
インプラントのスケジュール
インプラントは患者によってスケジュールが大きく変動します。
大まかなスケジュールは以下を想定してください。
- カウンセリング
- 検査
- 治療計画
- インプラント手術(一次手術)
- インプラント手術(二次手術)
- メンテナンス
従来の治療法である入れ歯やブリッジなら、周囲の歯を削ったり、土台にして歯を被せます。
しかしインプラントは骨にネジを埋め込み人工歯を装着するという方法です。
大掛かりな手術なのでカウンセリングが必要になります。
また患者の状態によってインプラント手術の回数は変わります。
即時荷重とは
インプラント手術をした場合、数ヶ月間は人工歯が装着されません。
しかし即時荷重インプラントであれば、手術直後に義歯の装着ができます。
仮歯を取り付けた後、1〜3ヶ月ほど様子を見ますが、その段階でしっかりと食べ物を噛めて、歯がある状態で生活できるため、歯がないストレスを感じずに済みます。
ただしインプラント治療が終わるまでの期間やトラブルなどに大きな差異はないため、手術後の歯の状態が気になる方は、医師に相談してみてください。
インプラントの定着期間はどのくらい?
インプラントの定着期間は個人差があるものの、おおよそ3〜6か月です。
定着期間とは、具体的に歯に埋め込んだネジが骨に結合するまでを示していて、年齢や歯の状態によって期間は大きく変動します。
定着まではしっかりと時間を設ける必要がありますので、定期的に結合状態を見てもらうための検診が必要です。
インプラント治療の通院回数とは?
インプラント治療は、患者によって異なるものの、8〜16回ほどの通院が必要とされています。
治療内容 | 通院回数 |
治療計画と精密検査 | 2〜3回 |
インプラント手術(2回法) | 4〜6回 |
インプラント手術(1回法) | 1〜2回 |
インプラント定着期間 | 3〜6回 |
人工歯の装着 | 1回 |
上記のスケジュールに加えて、以下のような要因で追加治療が必要なケースがあります。
治療 | 内容 | 通院回数 | 治療期間 |
顎を増やす治療 | 骨移植、サイナスリフト、ソケットリフトなどの手術を要する場合は、骨造成を行う | 2〜4回 | 4〜7か月 |
骨誘導再生(GBR) | インプラントの埋入タイミングで薄い骨の部分に骨補鎮剤を入れて骨を補填する | 2〜4回 | 3〜6か月 |
歯ぐきの移植手術 | 歯周病がひどくて、歯ぐきが下がったり、痩せていたりする場合、歯肉移植手術を行う | 2〜4回 | 1〜2か月 |
患者によって変動しますが、長期的な治療であるため、ある程度の回数が必要です。
インプラント治療期間は最短何日?
インプラント治療の期間は、インプラントと骨が結合するのを待つ必要があるため、大幅な短縮は見込めません。
どうしても短期間で手術を終わらせたいのであれば、以下のような選択をします。
治療方法 | 治療内容 | メリット | デメリット |
抜歯即時インプラント | 抜歯した当日にインプラントを埋め込む | 1回の麻酔で手術が終了する通院回数を減らせる | インプラントを埋め込むための骨が残っていること、歯周病にかかっていないことなどいくつかの条件を満たす必要がある |
即時荷重インプラント | インプラントを埋め込んだ日に人工歯を装着する | 近年ではインプラントの質が高まっているため、安全性が保証される歯のない期間をなくせる | インプラントを埋め込んだ日に装着するため、骨の状態が良好でなくてはならない |
上記のような選択をしたとしても、手術前の診察、治療、術後のメンテナンスは必須です。
そのためインプラント治療の期間を短くしようと意識するのは賢明ではありません。
感染症や噛み合わせの不具合につながるリスクもあるため、十分な期間と通院回数を設けて、インプラント手術の成功率を高めるようにしてください。
インプラントzeroとは?
インプラントzeroとは、歯医者や経営者に向けて行われているセミナーのことで、激化する高齢化社会において歯科医療のステージアップを見込んだノウハウを学ぶ機会です。
- 治療計画の策定
- 診断用ワックスアップやステントの作成
- トップダウントリートメントによるフルマウスリコンストラクション
- 抜歯即時埋入からオールオンの対応
- インプラントの症例の検討
- ライブオペ
- 医院経営のノウハウ伝授
若年層の間ではインプラントを選択する患者が増えています。
しかし高齢者施設などで歯科医をしている人の多くはインプラントの知識がありません。
「コンビニの数よりも多い」と言われている歯医者として経営を存続するために必要なことを学べる機会ですので、気になる方は参加を検討してみましょう。
そもそもインプラント治療とは?
そもそもインプラント治療とは、完全に歯がなくなった部分に医療器具・材料を埋め込む治療のことを意味します。
顎の骨にインプラントと呼ばれるネジを埋め込んで人工歯を装着することで、入れ歯やブリッジよりも強度の高く、見た目に違和感がない状態が完成します。
現時点で、自由診療になるため高額である点がデメリットです。
しかし長期的な視点で見るとインプラントは体の健康に大きく関与するため、推奨されています。
インプラントで歯がない期間について理解しよう
この記事では以下の内容について紹介しました。
- インプラントで歯がない期間は3〜6ヶ月ほどある
- インプラントの治療期間は3ヶ月〜1年ほどかかるものの、インプラント手術そのものは1〜2日で終了する
- インプラントの流れは「診断・検査」「治療」「インプラント埋手術」「人工歯装着」「メンテナンス」となる
- インプラントの骨造成が必要な場合は、骨が再生されるための4〜6ヶ月を要する
- インプラント手術は1回で終わらせることができる一方で、感染症や噛み合わせの違和感を無くすためには2回に分けるケースもある
- インプラントの定着期間はおおよそ3〜6ヶ月と言われている
- インプラントの通院期間は8〜16回ほどと言われている
- 顎の骨が足りないと診断された場合は、インプラント手術を行う前までに追加治療が必要になる
- インプラントの治療期間は骨との結合期間が大半を占めているため、治療期間を極端に短くすることはむずかしい
- 歯科医療のステージアップを見込んだセミナーとしてインプラントzeroが開催されている
- インプラント治療は、ブリッジや入れ歯の代わりに受けられる治療方法の一つである
インプラント治療は知名度が高まりつつあるものの、大きな手術を伴うため、正しい知識を身につける必要があります。
治療期間や通院回数も多くなりますので、しっかりと最後まで通い続けることができるかカウンセリングで相談してみてください。