インプラント費用は全部でどのくらいかかるのかあなたは知っていますか？
インプラントの費用は治療の目的や部位によっても異なります。
この記事では、インプラントの費用相場、治療ケース別に分かる全部の費用やインプラントの費用を安く抑える方法について紹介しています。
インプラント治療とは？
インプラント治療とは、抜けた歯の代わりにインプラント体といわれる人口の歯根を歯茎に埋め込み、上から人工歯を被せて歯をつくることです。
見た目も使い心地も従来の治療法よりも天然歯にちかいといわれています。
インプラント治療の目的
インプラントの治療の目的は、むし歯や歯周病、または怪我などによって失った歯の代わりとなる人工歯を埋め込むことで歯のない部分を補うためです。
抜けた歯をそのままにしておくと、残っている歯が動いて歯並びや顔の形が変わってしまうこともあるからです。
また、噛みあう歯がないと歯が伸びてしまうこともあります。
ほかの治療方法との違い
インプラントの治療と他の治療方法との一番大きなちがいには次の3つがあげられます。
- 周りの歯を傷つけることがなく治療できる
- 天然歯にちかい噛み心地で違和感が少ない
- 見た目も天然歯に近く、光沢や透明感がある
歯を失った場合の治療法
歯を失ってしまった場合の治療法には次の3つがあります。
●ブリッジ
●入れ歯
●インプラント
ブリッジ、入れ歯、インプラントによる治療法の特徴
各治療法の特徴について詳しく解説します。
- ブリッジ
└両隣の歯を削り、被せものをすることで歯のない部分に人工歯を補う - 入れ歯
└両隣の歯にバネをかけて義歯で歯のない部分を補う - インプラント
└アゴの骨に人工の歯根を埋め込み、上に人工歯を被せて歯のない部分を補う
インプラントの費用は全部でいくら？
インプラントの治療は他の2つの治療法と比べると高額になるため、全部でどのくらい費用がかかるのか心配になる方もいます。
インプラントによる治療の相談をかかりつけの歯科医師にする前に事前にどのくらいが相場なのかを把握しておきたい方も多いはずです。
ここでは、インプラントによる治療にかかる費用の相場について大まかに解説します。
インプラントの費用は全部でどのくらい費用がかかる？
インプラントの費用は、検査からインプラントの手術代と人工歯までを一括りにして、それ以外の治療や処置は別途費用が発生するケースもあれば、人工歯の費用は別途発生するケースなど、歯科医院によって異なります。
具体的には実際に治療を受ける歯科医院で確認することですが、一般的な費用の相場と費用に含まれる内容について簡単に解説します。
インプラントの費用相場
インプラント治療の費用は自由診療となるため、歯科医院によっても異なります.
しかし、多くの歯科医院が1本あたり30万円～40万円と設定しており、相場となっています。
費用の内訳は、インプラント体を埋入する手術から被せものまでを含めた内容です。
また、費用の高さ、安さの傾向としては、都市部になるほど比較的費用が高くなり、地方へ行くほど治療費が抑えめになっています。
もし、相場よりも著しく高いまたは安い費用を提示されたら、内訳をしっかり確認することが大切です。
インプラント治療の費用に含まれる内容
インプラントの治療費用は、インプラント治療に関係する検査等、さまざまな処置内容が含まれているケースが多いです。
人工の歯根であるインプラント体やそれを埋入する手術費はもちろん、仮歯や型取り、アバットメントの費用なども含まれますが、上部構造にあたる人工歯の費用は別途発生するケースも少なくありません。
費用の範囲も自由診療で定めがなく、歯科医院によって異なるため費用の範囲がどのようになっているのかは、カウンセリングの際に確認してください。
インプラント治療 費用相場の詳細
インプラント治療の費用は前歯、奥歯、上顎や下顎全体など治療の部位や治療内容によっても相場が異なります。
それぞれの費用相場について、さらに詳しく説明していきます。
奥歯1本あたりの費用は30～50万円程度
奥歯のインプラント費用は、埋入の手術費用、検査や診断料、人工歯の費用を合わせて1本あたり約30万円～40万円が相場です。
ただし、都内などの都市部においては、その他の地域よりも高くなり、約35万円～55万円が相場となります。
入れ歯やブリッジは噛む力が弱くなったり、周りの歯に負担をかけてまったりすることに対して、インプラントは独立しているため天然歯に近い感覚で過ごすことができます。
特に奥歯は、食事の際もよく使うことに加え、噛むたびに強い力が加わる部分なので、インプラントをするメリットも大きいです。
内訳をまとめると次のようになります。
| 治療内容 | |
|---|---|
| 検査・診断料 | 1.5～5万円 |
| インプラントの手術費用 | 15～35万円 |
| 上部構造（人工歯）の費用 | 5～18万円 |
| 合計 | 30～40万円 |
前歯1本あたりの費用は30～40万円程度
前歯のインプラントの費用は、奥歯とさほど変わりのない費用で30万円～40万円が相場です。
また、前歯に関しても奥歯と同様に都内や都市部においては、その他の地域よりも高くなる傾向にあります。
奥歯のインプラントは強度が求められますが、前歯は目立つ場所なので強度はもちろんのこと見た目の美しさが重要です。
そのため、治療費の内訳は人工歯の制作費が奥歯の人工歯よりも高くなる傾向にあります。
内訳をまとめると次のようになります。
| 治療内容 | 費用 |
|---|---|
| 検査・診断料 | 1.5～5万円 |
| インプラントの手術費用 | 15～35万円 |
| 上部構造（人工歯）の費用 | 5～18万円 |
| 合計 | 30～40万円 |
片顎の全部の歯をインプラントにすると200～250万円程度
「All-on-4」「All-on-6」といった治療法が開発される前までのインプラント治療では、歯を必要とする本数と同じ数のインプラントを埋入しなければなりませんでした。
治療費も本数分必要になり、10本の場合は300万円以上かかるなど、かなり高額な費用がかかっていました。
しかし、「All-on-4」「All-on-6」では、4本または6本のインプラント体を埋入し、上部は入れ歯のような人工歯を使用できます。
例えば、「All-on-4」で最大12本分の歯を補うことができるため、無くなった歯の数だけインプラントする必要がなく治療ができます。
その分、費用が抑えられるだけでなく手術時間や診療の回数も減らすことができるので、患者さんの負担をかなり軽減することができます。
片額の全部の歯をインプラントした場合の費用相場と内訳は以下のようになります。
| 治療内容 | 費用 |
|---|---|
| 検査・診断料 | 1.5～5万円 |
| インプラントの手術費用 | 120～180万円 |
| 上部構造（人工歯）の費用 | 60～180万円 |
| 合計 | 200～300万円 |
追加で別の治療が必要な場合はさらに治療費が加算となる
インプラント治療を行うためには、土台を埋入するアゴの骨がしっかりしていないとできません。
そのため、骨の厚みや幅が一定の基準を満たせていない場合、骨を移植するなどの治療が必要になります。
骨を造成するためにかかる費用は1本あたり3万円～10万円ほどかかりますが、具体的には骨の状態によって決定します。
また、すべての歯科医院で対応が可能だとは限らないため、かかりつけの歯科医院で相談し、必要に応じて紹介などもお願いしてみましょう。
全部の歯をインプラントにする費用について
全部の歯を失ってしまった場合は、「All-on-4」という治療法がおすすめです。
片顎の費用で200万円～300万円の相場となります。
これは、片顎だけの相場なので、全部の歯がなくなった場合には、ほぼ2倍の費用が発生すると考えてよいでしょう。
通常のインプラントより費用を抑えることができる「All-on-4」
「All-on-4」は4本のインプラントで片顎すべての歯を補うことができるため、1本ずつ埋入するよりも費用を抑えることができます。
また、骨や厚みに関しても、条件を満たしている部分にインプラントを埋入できるので、骨の移植にかかる費用も抑えることができます。
「All-on-4」の治療は通常のインプラントにかかる治療費の総額をグッと抑えられるのでメリットが大きい治療法といえます。
All-on-4を使用しない全顎のインプラント
「All-on-4」を選択せずに従来の1本ずつ埋入するインプラント治療法で、歯を10～12本埋入する方法を行った場合、All-on-4で施術した場合よりも総額はおよそ150万円ほどの高くなると考えられます。
加えて、埋入するインプラントの本数が多くなればなるほど、手術時間もその分増えますし、当然身体への負担も増してしまいます。
また、もし骨の厚みや幅が足りない箇所があったら、さらに追加費用も発生することになります。
All-on-4を使用したインプラント
経済的にも身体的にも負担が軽減できるだけでも、片顎または全顎インプラントする必要がある場合には「All-on-4」が適切な治療方法だといえるでしょう。
治療期間も1本ずつ埋入するインプラント治療と比べると、大幅に短縮が可能なので時間的にも優れています。
All-on-4と比較した総入れ歯のメリット・デメリット
片顎または全顎の欠損した歯の治療治療でインプラント以外の選択は「入れ歯」が一般的です。
All-on-4と総入れ歯を比較した場合のメリット・デメリットについて解説します。
All-on-4と比較した総入れ歯のメリット
All-on-4のメリットをまとめると次のとおりです。
- 天然歯に近い高い咬合力を実現
└入れ歯よりもしっかりと固定できるので咀嚼がしっかりできる - 見た目の美しさに優れている
└透明感や光沢感のある上部構造物（人工歯）がつくれる - 寿命が長い＝長く使用できる
└定期的に適切なメンテナンスを実施することで長く使用できる - アンチエイジング効果が期待できる
└咀嚼のしやすさや笑顔が増えるなどにより咬筋や表情筋を鍛えられ、口元を若々しく保てる
咀嚼の快適さや見た目の美しさに優れていることに加えて、長く使用できる良さもあり、多くのメリットが得られます。
All-on-4と比較した総入れ歯のデメリット
多くのメリットが確認できた一方で、逆にAll-on-4にどんなデメリットがあるのかも把握しておきましょう。
- 総入れ歯と比較して費用が高額になる
└入れ歯には保険診療もありますが、インプラントは自由診療となるため費用が高額になる - 骨にインプラント体を埋入するため外科手術が必須で行われる
└インプラント治療は外科手術を避けることはできないためリスクもある - 総入れ歯と比較した場合に治療期間が長期にわたる
└入れ歯を選択した場合よりも治療の期間が長期間必要になる
メリットだけではなく、上記のようなデメリットもあるため十分考慮して決めることが大切です。
インプラントのAll-on-4と総入れ歯のちがい
インプラントの「All-on-4」と総入れ歯のちがいを挙げると主に次の2点が挙げられます。
- ①費用
- ②寿命
上記のちがいについて、さらに詳しく説明していきます。
①費用
インプラントの人工歯はセラミック製です。
入れ歯はプラスチック製なので審美性や耐久性ではインプラントの方が優れていますが、その分費用が高くなります。
入れ歯の場合は保険診療の適用も受けられることもあり、費用は片顎で3千円～2万円が相場です。
自由診療で入れ歯を作成した場合、保険診療よりは高額になりますが、それでも片顎で20万円～150万円が相場となります。
ただし、入れ歯は数年ごとに作り直しが必要になるため、素材の選択にもよりますが長期的な観点で費用を計算した場合、入れ歯の方が高くなるケースが無くはありません。
②寿命
寿命の長さはインプラント治療において、大きな魅力の1つです。
All-on-4の場合、一般的なインプラントの平均寿命は「約15年」です。
これには日常的なセルフメンテナンスに加えて、歯科による定期的なメンテナンスが必須となります。
一方、総入れ歯の寿命はというと平均3年～5年となります。
これは、歯茎や顎の骨の状態がずっと同じではなく、痩せてしまうので、適合する入れ歯を定期的に作り直さなくてはならないからです。
また、数年ごとに作り直さなければならない理由として、入れ歯の主な素材となるレジンの経年劣化による影響もあります。
インプラント治療は保険が適用される？
インプラントは基本的に自由診療による治療です。
しかし、保険適用となるケースが全くないわけではありません。
例えば、次のような事由など、国が定めた条件が満たされた場合に保険適用となる症例も存在します。
- 腫瘍や事故などの原因により顎の骨が連続して1/3以上失われているケース
- 生まれつきの疾患などにより顎の骨が連続して1/3以上失われているケース
インプラント治療の費用を抑える方法は？
素材や技術といった点の費用を削ることはできませんが、少しでも費用を抑えるためにできることとして、次の2つがあります。
- 医療費控除の申請
- デンタルローンの利用
医療費控除の申請を行う
インプラントの治療にかかった費用を「医療費控除」として確定申告の際に申請をすれば、税金の還付対象となり費用を軽減できます。
医療費控除は、年間で医療費が10万円以上かかった場合や所得の5％以上だった場合に還付が行われる制度です。
デンタルローンを利用する
インプラントの治療費としてまとまった金額が用意できない場合には、デンタルローンという支払い方法の選択もできます。
これは、総額として軽減できるわけではありませんが、一度に支払う費用を少なくすることが可能です。
ただし、必ず利用できるとは限らないため、かかりつけの歯科医院にて相談してみてください。
安すぎるインプラントには注意！
インプラントの治療が高額になるにはそれなりの理由があります。
あまりにも著しく費用が安い場合は、どこかが疎かになっている可能性もあります。
不要なリスクを避けるためにも、相場とかけ離れている場合には注意しましょう。
まとめ
インプラントの治療においてかかる費用がぜんぶでどのくらいかかるのか、さまざまなケースの紹介をしました。
インプラントが気になっているけれど、費用面が気になって踏み出せない方は今回ご紹介した費用の相場を参考にしてみてください。
だいたいの見当をつけた上でかかりつけの歯科医と相談しながら、自身にあった治療を選択しましょう。