歯を欠損してしまい治療が必要な時...
- 「入れ歯・差し歯・ブリッジ・インプラントはどう違うの?」
- 「自分に適している『歯を補う方法』はなんだろう?」
などとお悩みになる方もいるのではないでしょうか?
歯の欠損をそのままにしておくと「咀嚼に影響が出る」・「発音がしづらい」・「歯並びが悪くなる」などの影響があり早期治療が必要です。
そこでこの記事では、入れ歯・ブリッジ・インプラント、それぞれのメリットやデメリットを解説します。
*注意(差し歯に関して) 差し歯は、歯が折れたり歯を削ったりして歯の根が残っている場合に、欠けた部分だけを補完する治療で、他の「入れ歯・ブリッジ・インプラン」とは根本的に違う治療です。 差し歯は、歯に「差す」または「被せる」治療で、歯を完全に失った場合には差し歯治療は適用できません。
入れ歯・ブリッジ・インプラントの特徴一覧
まず、入れ歯・ブリッジ・インプラントの違いを一覧形式で比較してみましょう。
入れ歯 | ブリッジ | インプラント | |
食事 | ×:違和感あり・温度を感じづらい | ◯:ほとんど違和感がない | ◎:違和感なし |
噛む力 | ×:よく噛めない | △:ある程度噛める | ◎:しっかり噛める |
周囲の歯への影響 | ×:留め具をかける歯に負担 | ×:両隣の歯を削る・削った歯に負担 | ◎:影響なし |
治療できる歯の数 | ◎:何本でも可 | ×:1本〜2本が理想、多くて3本まで | ◎:何本でも可能 |
見た目 | △:保険診療:留め具が見えて違和感あり | △:保険診療:銀歯で見た目に違和感あり | ◎:違和感なく美しい |
手術の有無 | ◎:必要なし | ◎:必要なし | ×:外科手術が必要 |
費用 | ◎:保険診料と自由診療の選択可 | ◎:保険診料と自由診療の選択可 | ×:原則自由診療 (10万円〜40万円/1歯) |
治療期間 | ◯:短期間 | ◯:短期間 | ×:外科手術など長期治療になる |
上記表を見ると入れ歯・ブリッジでは費用と治療期間の面にメリットがあり噛む力や周囲の歯の影響・見た目など機能面にデメリットがあるようです。
一方、インプラントは噛む力や周囲の歯の影響・見た目など機能面にメリットがあり、費用と治療期間の面がデメリットといえます。
また外科的手術を施さなければならないことに心理的負担を感じる人もいるのではないでしょうか。
差し歯の特徴
差し歯は、残った歯根に金属やファイバーを重ね、その上から被せものをする方法です。
安価な素材を選べば治療費を抑えられ、外科手術の必要もありません。
素材を選べば見た目の美しさを補完することも可能ですが、保険は適用外になるかもしれません。
差し歯の最大の特徴は、安定した歯根が残っていないと差し歯を選択できないということです。
歯根ごと抜いた場合や、歯槽膿漏などで歯根に影響が出ている場合は他の方法を選択します。
それでは、「入れ歯・ブリッジ・インプラントのインプラント」それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
入れ歯の特徴とメリット・デメリット
入れ歯は正式には「局部床義歯」といわれ、人工の義歯床に歯が着いたものを装着することで失った歯を補うもので、最大の特徴は着脱可能で比較的に安価、そして短期間で作れることです。
入れ歯には上写真のように様々な形がありますが、一部の欠損の場合は義歯を金具で周りの歯と固定します。
この固定方法は周囲の歯に引っ掛けている状態なので、着脱が自分で簡単にできるのが特徴です。
また入れ歯は型取りから完成まで比較的に短期間ですみ、装着して調整するなど治療完了までの期間が短いうえ、入れ歯の作成は保険診療と自由診療を選択することができるので、保険診療を選択すると比較的に安価で作成できます。
入れ歯のメリット
入れ歯のメリットをまとめると次の2つです。
- 入れ歯の作成が短期間ですみ治療期間が比較的に短い
- 保険診療を選択すると治療費が比較的安価
入れ歯の作成が短期間ですみ治療期間が比較的に短い
入れ歯は型取りをして入れ歯を作成し、装着しながら微調整をすると完了です。
他の義歯よりも、短期間で作成し装着できるのが大きなメリットです。
保険診療を選択すると治療費が比較的安価
保険診療での入れ歯の作成費用の相場は以下のようになります。
総入れ歯 | 部分入れ歯 | |
1割負担 | 約3,000円 | 約2,000円 |
3割負担 | 約9,000円 | 約6,000円 |
保険診療なので、全国どこの歯科クリニックで「同じ入れ歯」を作成した場合は同じ値段になります。
入れ歯のデメリット
- 元の歯の咀嚼力と比べて入れ歯の咀嚼力は20%程度
- 周囲の歯に留め具をかけるので、留め具をかけられた歯に負担がかかる
- 合わない入れ歯だと「上手く噛めない」「痛みが出る」ケースが起こり得る
- 歯にかけた留め具が見える場合、見た目が不自然
- 総入れ歯にすると入れ歯で口の全体を覆ってしまうため、食事の味や温度が感じにくい
上記のようなデメリットは自由診療で入れ歯を作成することで軽減できますが、そもそも保険診療で安価で作成できることが入れ歯のメリットなのです。
入れ歯の機能面でのデメリットを受け入れられる人には、入れ歯は適した治療といえるでしょう。
ブリッジの特徴とメリット・デメリット
ブリッジは上写真のように両側の歯を支柱にして橋をかける構造をした治療方法です。
失った歯の両側の歯を削り支柱にして、連結させた義歯を支柱に被せ固定するため、欠損した両側の歯は生きた健康な歯でなければなりません。
両側の歯は支柱となるために負荷が大きくかかるため、ブリッジで補填する歯の数は1・2本、多くても3本までとされています。
ブリッジのメリット
- 両側の歯を支柱としてしっかりと固定
- 治療は両側の歯を削るだけで外科手術が不要
- 保険診療で費用を抑えられる
ブリッジの最大の特徴は固定されていることです。
固定されているため、入れ歯のように取り外してお手入れする必要はなく、周囲の歯と同じように丁寧にブラッシングすればケアできます。
また入れ歯に比べて、食べ物を噛めるのも魅力で食事もしやすいでしょう。
そして、費用の面でも入れ歯と同じように保険診療と自由診療を選択でき、保険診療を選択すれば比較的安価でブリッジを作成することができます
ブリッジのデメリット
- 一度削った健康な両側の歯は元に戻らない
- 支柱とする両側の歯の負担が大きく支柱となった歯の寿命を縮める可能性がある
- 歯茎とブリッジとの間に食べかすが残りやすく、歯周病や口臭の原因となる
- ブリッジの保険診療では銀歯とプラスチック素材を用いるので審美性(見た目)が低い
ブリッジの最大のデメリットは、両側の歯を削ることです。
削った歯は元には戻らないばかりか、ブリッジの支柱となり負荷も大きくかかり歯の健康寿命も大きく減少してしまいます。
また、着脱できな分お手入れが簡単な反面、丁寧に歯磨きをしないと歯茎とブリッジの間に食べかすが溜まり、それが原因で歯周病や口臭を引き起こした症例も少なくありません。
自由診療では見た目に自然な素材を選べますが、保険診療だと銀歯とプラスチックとなるので審美性が低いといわざるを得ません。
インプラントの特徴とメリット・デメリット
インプラントは欠損した歯の部分に位置する顎の骨に、身体に馴染みやすい土台を埋め込んでその上にセラミックなどで作った義歯を取り付けるものです。
インプラントは最も自分の歯に近づける治療法として、日本では1983年から始まりました始まりましたが、利便性・快適性・審美性を求める風潮が生活レベルの向上と伴い広まる中で、普及し続けています。
利便性・快適性・審美性とは、顎の骨に単体としてしっかりと固定されているので周囲の歯に負担をかけることなく、自分の天然歯とほぼ変わらない噛み心地や機能が戻り、自然な歯と全くといっていいほど見分けがつかないことです。
インプラントのメリット
- 健康な周囲の歯に負担がかからない
- 欠損した歯の部分にあたる骨が減少するのを防ぎ健康を維持できる
- 手入れが簡単で手間がかからない
- 耐久性に優れている
- 自分の歯のようにしっかり噛める
- 見た目が自然
- 滑舌・発音に悪影響が出にくい
インプラントは欠損した歯の部分にチタンなどの土台を直接埋め込むため、一本一本が独立しているので周囲の歯に負担をかけることがなく、インプラントがあることで咀嚼や歯の食いしばりなどで歯槽骨に適度な刺激が加わり顎の骨を健康に維持することができます。
また、自分の歯と同じ使用感で食事やお喋りができ、着脱する必要がないのでお手入れが簡単で他の歯と同じように歯磨きをすればことたります。
欠損した歯を補填する治療としてインプラントはメリットが最も多い治療法と言えるでしょう。
インプラントのデメリット
- 自由診療なので費用がかかる
- 治療が長期間にわたる
- 必ず手術が必要になる
- 施術後も定期的にメンテナンスが必要
インプラントは基本的に自由診療です。保険診療が利用可能な入れ歯やブリッジを使った他の治療法と比べるとどうしても費用が高くなってしまうのは否めません。
また、インプラントは歯槽骨の内部に埋め込まれるため外科手術が必要となり、治療期間は平均して6週間〜24週間ほどかかり、入れ歯やブリッジと比べると長い期間を要します。
メンテナンスに関しても、口内や特にインプラント部分を清潔に保たないとインプラント周囲炎を引き起こす可能性があります。
インプラント周囲炎とは、インプラントの周囲組織で炎症が起こる疾患ですが、歯周病と同じ細菌感染症の一種で歯槽骨が破壊されてしまいます。
「インプラント」と「入れ歯・ブリッジ」を比較
インプラント | 入れ歯 | ブリッジ | |
食事 | ◎:違和感なし | ×:違和感あり・温度を感じづらい | ◯:ほとんど違和感がない |
噛む力 | ◎:しっかり噛める | ×:よく噛めない | △:ある程度噛める |
周囲の歯への影響 | ◎:影響なし | ×:留め具をかける歯に負担 | ×:両隣の歯を削る・削った歯に負担 |
治療できる歯の数 | ◎:何本でも可能 | ◎:何本でも可 | ×:1本〜2本が理想、多くて3本まで |
見た目 | ◎:違和感なく美しい | △:保険診療:留め具が見えて違和感あり | △:保険診療:銀歯で見た目に違和感あり |
手術の有無 | ×:外科手術が必要 | ◎:必要なし | ◎:必要なし |
費用 | ×:原則自由診療 (10万円〜40万円/1歯) | ◎:保険診料と自由診療の選択可 | ◎:保険診料と自由診療の選択可 |
治療期間 | ×:外科手術など長期治療になる | ◯:短期間 | ◯:短期間 |
インプラントは費用がネックだが解決される場合も
インプラントは入れ歯やブリッジと比べると優れた治療法といえますが、最大のネックとなるのは一本の歯あたり10万円〜40万円かかる費用ではないでしょうか?
この費用も医療費控除を活用すれば支払額を抑えられる可能性があります。
また、インプラントはしっかりとメンテナンスをしていれば10年〜15年程度は使用でき、30年以上インプラントが保った症例もあります。
こうした面を考慮すると、症例によっては妥当な金額だと感じられる人も方もいるのではないでしょうか。
まとめ
歯を欠損した時には、入れ歯・ブリッジ・インプラントの治療法がありますが、大切なのは「自分の歯にあった治療」と「長期的な使用を見込んだ治療」です。
費用や治療の手間はもちろん、自分の歯を健康に保つことや、顎の骨・咀嚼力などにも配慮した治療をするのがよいでしょう。