歯科矯正

3歳から始める矯正歯科治療。受け口の原因と治療法について

投稿日:2019年9月3日 更新日:

こんにちは!
岩手県盛岡市のマモインプラントクリニックマリオスの理事長高橋衛です。

『受け口』の原因や治療法について簡単にご紹介します。受け口の矯正については、骨格の成長がまだ終わっていない子供のうちから治療する方が、断然きれいに治る場合が多いためオススメです。そこで今回は、お子様の受け口矯正にスポットを当てて、その治療方法などを詳しくご紹介していきたいと思います。

受け口とは、下の歯が上の歯より前に出ている状態のことを指しており、歯科用語では「反対咬合(はんたいこうごう)」と言います。

実は3歳児検診で4~5%の割合でこの反対咬合が見つかると言われており、当然、大切な自分のお子様が通常の噛み合わせと反対になっていると聞くと、不安でしょうがないという方が少なくないでしょう。しかし、現状まだ小さなお子様の受け口の場合、歯医者さんに相談したとしても「永久歯がはえるまで様子を見ましょう」と言われるケースが少なくありません。

これは、幼児期の乳歯列が永久歯にはえかわった際に反対咬合が治るケースがあることや、幼児期から反対咬合を治療できる有効な手法がまだ認知されておらず、明確な根拠のないまま経過観察を進められるケースが多いことによります。

しかし、数年前よりアメリカでムーシールドと呼ばれる治療器具を使った治療法が注目を浴び、国内でも徐々にこの治療法が広く認知されるようになっています。ここではお子様の受け口の特徴や、ムーシールドの詳細などをご紹介します。

関連記事:「長年、受け口に悩んでいる…」受け口を矯正することのメリットとは?

お子様の受け口について

冒頭でご紹介したように、3歳児検診では一定数のお子様が受け口を指摘されています。当然、親御さんからすれば「将来、この子の歯並びは大丈夫かな…?」と考え、歯医者さんに相談することになるでしょう。しかし、3歳児の受け口に対する考え方というのは、歯科医師によって異なりますので、「永久歯がはえるまで様子を見ましょう」などと経過観察を進められるケースが少なくありません。

しかし、3歳児検診などで受け口を指摘されたお子様の多くは、受け口が自然に直ることもなく、将来的に口の中に針金を通すなど、本格的な矯正を強いられるケースも珍しくありません。当然その場合、費用も時間もかかってしまいますので、できることなら早めに矯正治療を始めるのに越したことはないと言えるのです。

小さなお子様の受け口の特徴

3歳児など、まだ小さなお子様の受け口には以下のような特徴があります。

  • 上唇の力が強く、上顎が小さい
  • 下唇の力が弱い
  • 通常より舌の位置が低いため、唾を飲み込むときに下顎が前に押し出されてしまう
  • 咬み合わせに不調和がある

このように、小さなお子様の受け口は、舌、唇、頬の力などのバランスが乱れてしまっていて、調和がとれていないことが特徴となります。

ムーシールドによる治療について

それでは本題の「ムーシールドを使ったお子様の受け口治療」についてご紹介します。ムーシールドと聞いても、まだその名称すら初めて聞いた…という方が多いかもしれませんね。

ムーシールドは、夜寝ている間に装着するだけの負担の少ない子供専用のマウスピースとなります。通常の歯科矯正治療は、3歳児などの低年齢のお子様には行うことができないのですが、ムーシールドであれば3歳から受け口治療を始めることが可能です。ムーシールドは、歯に直接アプローチするのではなく、口の周りの筋肉にアプローチし、そのバランスを整えることで正しい歯・顎の位置に誘導していくというものです。したがって、成長とともに正常な顎骨の成長発育を促すことができ、正しい永久歯の成長が期待できるのです。

経過観察などをすすめられて噛み合わせが逆のまま成長した場合、下顎の骨が過成長しやすい状態が続くこととなります。そのため、受け口が自然治癒しなかった時には、下顎が取り返しのつかないほど大きく成長してしまうことなどもあるため、できるだけ早期に治すのがオススメです。

ムーシールドのメリット・デメリット

ムーシールドは、通常の歯科矯正ができな3歳児など、非常に早い段階で受け口の治療ができるというのが最大のメリットでしょう。ここでは、ムーシールドのメリットとデメリットを簡単にご紹介しておきます。

ムーシールドのメリット

  • 低年齢から治療することができる。
  • 口の中に針金を通す、歯を抜く、外科治療などが無いため、痛みを感じることがない。
  • 就寝中に装置を装着するだけなので、お子様への負担が少ない。
  • 人前に出る時に装置をつける必要がない。
  • 比較的短期間で受け口の改善が期待できる。また費用も安い。

ムーシールドのデメリット

  • 成長によって元に戻ってしまう可能性がある。
  • 受け口にしか効果がない。
  • 効果が期待できる時期が限られている

ムーシールドを使用した治療の留意点

ムーシールドを使った受け口治療には、いくつか留意しておかなければならないポイントがあります。以下にまとめてご紹介しておきますので、頭に入れておきましょう。

  • お子様の協力が必要
    ムーシールドによる治療は、上述のように就寝時に専用のマウスピースをはめて頂く治療となります。当然、このマウスピースは、歯列に対して強制的にはめ込んでおけるものではありませんので、お子様に外さないよう意識してもらう必要があります。したがって、お子様が治療に協力できるようになった段階でしか治療を開始することができません。
  • 定期検診を続けることが理想
    ムーシールドは実績のある治療ですので、お子様の受け口には一定以上の効果が見込めます。ただし、受け口に対して万全な治療ということではありませんので、他の矯正装置を併用しなければならないケースもあります。また、治療を完了しても、成長とともに再治療が必要となるケースもありますので、骨格の成長期が終了するまでは異変の早期発見のため、定期検診を続けるのが理想です。

受け口の後戻りはMFT(口腔筋機能療法)で防止!

3歳児など、まだ小さなお子様でもムーシールドを使った受け口治療で、正常な状態にすることが期待できます。ムーシールドによる治療は、「歯並びを整える」というものではなく、「子供の顎の成長を利用して、舌の位置や顎のバランスを整え、歯の噛み合わせを正常位置に導く」という矯正手法となるため、痛みや負担なども少ない治療法として注目されているのです。
しかし、お子様の受け口が、口まわりのの筋肉や舌の癖などによって起こっている場合、いくらムーシールドを使って受け口の改善を行っても、治療完了後しばらくすると元に戻ってしまうことがあるのです。これは、受け口の原因を取り除けていないわけですので、当然と言えば当然です。したがって、そういったお子様に対しては、MFT(口腔筋機能療法)を積極的に行い、噛み合わせと歯並びの乱れを予防することがオススメです。

MFT(口腔筋機能療法)は、歯並びなどに影響する口腔習癖を改善させるためのトレーニングです。食べる(咀嚼)、飲む(嚥下)、発音する、呼吸する、舌の位置、口唇の位置など、普段は特に気にすることが無いような事でも、受け口などの不正咬合の原因となるのです。したがって、口まわりの筋肉や舌の動きを正して、受け口の原因となる口腔習癖を取り除いていくことが、受け口の後戻りを防ぐことにつながるのです!

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