
インプラント治療を受けられた方の中には、「これまで通り美顔器を使って美容ケアを続けたいけれど、インプラントに悪影響がないか心配」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。美しさを保つことは、インプラント治療後の生活の質を維持する上で大切なことです。しかし、美顔器の種類や使用方法によっては、デリケートなインプラントに影響を及ぼす可能性も考えられるため、慎重な判断が求められます。
この記事では、インプラント治療後に美顔器を使用する際に、「いつから」「どの種類の美顔器なら」「どのように使えば」安全なのかという具体的な疑問を解消するために必要な知識を網羅的に解説します。この記事を通じて、インプラントを大切にしながら、安心して美容習慣を続けるための正しい情報を得ていただけると幸いです。
インプラント治療後に美顔器は使える?基本的な考え方
インプラント治療後、「これまで使っていた美顔器は使えるのだろうか?」と疑問に感じる方は少なくありません。残念ながら、この問いに対して「はい、使えます」あるいは「いいえ、使えません」と一概に断言することはできません。美顔器の使用可否は、インプラントの治癒段階、美顔器の種類や機能、そして患者さん一人ひとりの口腔内の状況によって大きく異なるため、慎重な判断が求められます。
自己判断で美顔器を使用することは、インプラントの安定性や口腔内の健康に悪影響を及ぼすリスクがあるため大変危険です。インプラントが顎の骨にしっかりと結合するまでのデリケートな期間や、美顔器が持つ電気・熱・振動といった刺激がインプラントにどのような影響を与えるかを正しく理解することが重要です。このセクションでは、インプラント治療後に美顔器を使用する際に考慮すべき基本的な考え方と、なぜ自己判断を避けるべきなのかについて詳しく解説します。
なぜ「使えない」と言われることがあるのか?
美顔器の使用がインプラント治療後に推奨されない、あるいは「使えない」と言われる背景には、いくつかの医学的な理由があります。主なリスクとして、美顔器が発するRF(ラジオ波)による熱、EMS(電気刺激)による痛みや不快感、そして超音波などの振動によるインプラントへの影響が挙げられます。これらのリスクは、インプラントの安定性や周囲組織の健康に直接関わるため、美顔器のメーカーや歯科クリニックは慎重な姿勢を示すことが多いのです。
まず、RF(ラジオ波)美顔器は、高周波の電磁波によって肌の深部を温めることで、美容効果を促します。しかし、インプラントはチタンなどの金属でできているため、RFの熱エネルギーが伝わりやすく、インプラント体が過剰に熱を持つ可能性があります。この熱は、インプラント周囲の骨や歯茎にダメージを与えたり、炎症を引き起こしたりするリスクがあると考えられています。
次に、EMS(電気刺激)美顔器は、微弱な電流を流して表情筋などを刺激します。金属は電気を通しやすい性質があるため、EMSの電流がインプラントに直接流れ込むことで、口の中や顎の周辺に「ピリピリ」とした不快感や、場合によっては鋭い痛みを感じる可能性があります。また、超音波美顔器による微細な振動は、特にインプラントが骨と結合する前の不安定な時期(オッセオインテグレーション期間)において、結合プロセスを阻害するリスクが懸念されます。これらの刺激がインプラントにどのような長期的な影響を与えるかは、まだ十分な研究データが揃っているとは言えないため、専門家は安全を考慮して使用を推奨しない傾向にあるのです。
結論:自己判断はNG!時期と種類を選べば使用できる可能性が高い
インプラント治療後の美顔器使用に関して、最も重要なメッセージは「自己判断は絶対に避けるべき」という点です。インターネット上の情報や友人・知人の意見を鵜呑みにせず、必ず担当の歯科医師に相談することが安全への第一歩となります。
しかし、適切に判断し、特定の条件を満たせば、インプラント治療後も美顔器を使用できる可能性は十分にあります。具体的には、インプラントが顎の骨と完全に結合し、口腔内が安定した「適切な時期」に、インプラントへの影響が少ない「種類」の美顔器を、そして歯科医師からの指示に基づいて「注意点を守って使用する」という条件が揃えば、これまで通りの美容習慣を継続できる可能性が高いです。
最終的な判断は、患者さん個人のインプラントの状態、埋入部位、骨の質、そして使用したい美顔器の具体的な機能やメーカーの推奨事項など、あらゆる要素を総合的に評価できる担当の歯科医師に委ねるべきです。歯科医師はレントゲン写真や口腔内の診察を通して、インプラントの状態を最も正確に把握しています。必ず事前に相談し、安全に使用できるかどうかのアドバイスを受けるようにしてください。
【重要】インプラント後に美顔器の使用を絶対に避けるべき時期
インプラント治療を終えた後、美顔器を使用するタイミングには特に注意が必要です。安全に美容習慣を再開するためには、美顔器の種類に関わらず、使用を絶対に避けるべき期間が存在します。この期間を正しく理解し、守ることが、インプラントを長持ちさせ、トラブルなく安心して過ごすための最初のステップとなります。
インプラント手術直後~治癒期間(約3~6ヶ月)
インプラント治療後、美顔器の使用を避けるべき期間は、インプラントの埋入手術直後から骨とインプラントが結合するまでの「治癒期間」です。この治癒期間は、一般的に3ヶ月から6ヶ月程度とされていますが、患者さん個人の骨の状態、インプラントを埋入した部位(例えば、上顎は骨が柔らかく下顎より時間がかかりやすい傾向があります)、そして個々の治癒力によって大きく異なります。
このデリケートな期間に美顔器を使用することは、インプラントの定着を妨げ、最悪の場合、治療の失敗につながるリスクがあります。焦らず、歯科医師の指示に従い、インプラントが安定するのを待つことが何よりも大切です。
なぜこの期間は避けるべきなのか?
インプラントが顎の骨にしっかりと結合することを「オッセオインテグレーション(骨結合)」と呼びます。このオッセオインテグレーションは、インプラント治療の成功に不可欠な非常にデリケートなプロセスです。インプラントが埋入されてから骨がその表面を覆い、強固に結合するまでには、時間と安静が必要となります。
治癒期間中に、美顔器から発せられる熱、電気、あるいは振動といった外部からの刺激が加わると、この結合プロセスが阻害される可能性があります。例えば、インプラントが不安定な状態で強い振動を受けると、骨との間に隙間が生じたり、結合が阻害されたりして、インプラントが顎の骨に定着しなかったり、最悪の場合には脱落してしまうリスクも考えられます。また、熱や電気の刺激がデリケートな結合組織に悪影響を与え、炎症やダメージを引き起こす可能性も否定できません。
さらに、手術直後は傷口がまだ完全に閉じきっていないため、衛生状態によっては感染のリスクも考慮しなければなりません。美顔器を顔に使用する際の物理的な接触や振動が、傷口に刺激を与えたり、細菌感染を招いたりする可能性もゼロではありません。これらのリスクを避けるためにも、治癒期間中は美顔器の使用を控え、インプラント周囲を安静に保つことが非常に重要なのです。
最終的な被せ物が入って安定してからが目安
美顔器の使用を検討し始める具体的な目安は、インプラントの上に最終的な人工歯(被せ物)が装着され、さらにその後の定期検診などで、担当の歯科医師がインプラントの状態が完全に安定していると確認した後になります。この段階に至って初めて、美顔器の使用について歯科医師に相談するスタートラインに立つことができる、と認識してください。
安易な自己判断は避け、必ず歯科医師の専門的な診断と許可を得てから、安全に美顔器の使用を再開しましょう。
【種類別】持っている美顔器は大丈夫?機能ごとの注意点
ご自身がお持ちの美顔器がインプラント治療後も使えるのか、機能別に気になる方もいらっしゃるでしょう。美顔器の機能は多岐にわたり、それぞれインプラントへの影響の度合いが異なります。ここでは、代表的な美顔器の機能ごとに、どのようなリスクがあり、どのような点に注意すべきかについて詳しく解説します。それぞれの特性を正しく理解し、安全な美容習慣を続けるための参考にしてください。
EMS(電気筋刺激):ピリピリとした痛みや不快感を感じる可能性
EMS(Electrical Muscle Stimulation)機能は、微弱な電流を流して筋肉に刺激を与え、表情筋などを鍛えることで、リフトアップや肌の引き締め効果が期待できる美顔器です。しかし、インプラント治療を受けている方がEMS機能を使用する際には、注意が必要です。インプラント体はチタンなどの金属でできているため、電気を通しやすい性質を持っています。
このため、EMSの電流がインプラントに流れると、口の中や顎の周辺に「ピリッ」とした鋭い痛みや、ジンジンするような不快感を引き起こす可能性があります。インプラントが埋入されている深さや位置、美顔器の出力レベルによっては、不快感だけでなく、想定外の電気刺激が神経に伝わり、強い痛みを感じることもあります。たとえ強い痛みを感じなくても、インプラント周囲の組織に長期的にどのような影響があるかは不明な点も多いため、EMS機能の使用には特に慎重な判断が求められます。
RF(ラジオ波・高周波):インプラント体が熱を持つリスク
RF(ラジオ波)機能は、高周波の電磁波を肌に照射し、その熱エネルギーによって肌の深部を温めることで、コラーゲンの生成を促進し、たるみ改善や肌質向上を目指す美顔器です。このRF機能も、インプラント治療を受けている方にとっては注意が必要な機能の一つです。
RFの熱エネルギーは、金属に吸収されやすいという特性があります。そのため、金属でできたインプラント体や、インプラントの被せ物に金属が使われている場合、RFの熱エネルギーがインプラントに集中し、インプラント自体が過度に加熱されてしまうリスクがあります。インプラントが熱を持つと、周囲の骨細胞や歯茎の組織にダメージを与え、最悪の場合、インプラント周囲の骨が溶けてしまう「インプラント周囲炎」を引き起こしたり、インプラントの寿命を縮めたりする原因になりかねません。これはインプラントの安定性に直接関わる重大なリスクであるため、RF機能付き美顔器の使用は、歯科医師への相談が不可欠です。
超音波(キャビテーション):振動による影響の懸念
超音波美顔器は、目に見えないほどの微細な高速振動を肌に与えることで、毛穴の洗浄や美容成分の浸透促進、リフトアップ効果などを目的として使用されます。キャビテーション機能も同様に、超音波によって肌内部に微細な振動を発生させるものです。
インプラントが顎の骨と完全に結合し、安定している状態であれば、美顔器による微細な振動が直ちに問題を引き起こす可能性は低いと考えられています。しかし、長期間にわたる継続的な使用や、強い出力での使用がインプラントに全く影響しないと断言することはできません。特に、インプラント本体とその上に取り付けられるアバットメントや被せ物とを繋ぐ小さなネジが、継続的な振動によってわずかに緩む可能性も理論的には懸念されます。このような微細な影響は自覚しにくい場合もあるため、超音波機能付き美顔器についても、使用前に必ず担当の歯科医師に相談し、安全性を確認することが重要です。
LED・イオン導入/導出:比較的影響は少ないとされる機能
LED(発光ダイオード)機能は、特定の色(赤、青など)の光を肌に照射することで、肌のターンオーバー促進、ニキビケア、コラーゲン生成サポートなどを図る美顔器です。また、イオン導入/導出機能は、微弱な電流を用いて美容成分を肌の奥に浸透させたり、毛穴の汚れを浮かせたりするものです。
これらの機能は、インプラントへの直接的なリスクが比較的少ないと考えられています。LEDは光による作用であるため、EMSやRFのように熱や強い電気刺激、機械的な振動を伴いません。そのため、インプラントへの影響はほとんどないと言えるでしょう。イオン導入/導出も微弱な電流を使用しますが、EMSほどの強い電気刺激ではないため、通常の使用ではインプラントに問題を起こす可能性は低いとされています。しかし、「リスクがゼロではない」という点を常に意識し、これらの機能であっても、念のため使用前に担当の歯科医師に確認を取るのが最も安全な方法です。歯科医師の専門的な判断を仰ぐことで、安心して美容習慣を続けることができます。
インプラントがあっても美顔器を安全に使うための4つのポイント
インプラント治療後も美容習慣を大切にしたいというお気持ちはよくわかります。歯科医師から美顔器の使用許可が得られた場合、インプラントを長持ちさせながら安心して美容を楽しむためには、いくつかの重要なポイントを守る必要があります。このセクションでは、安全に美顔器を使うための具体的な行動指針を4つご紹介します。これらのポイントを理解し、実践することが、大切なインプラントを守り、日々の美容を継続するための鍵となります。
ポイント1:使用前に必ず歯科医師に相談する
インプラント治療後に美顔器を使用するにあたり、最も重要なのは「必ず担当の歯科医師に相談する」ことです。この相談は、単なる確認ではなく、安全な美容習慣を続けるための必須プロセスと考えてください。
なぜ歯科医師への相談が不可欠なのでしょうか。それは、歯科医師があなたのインプラントの状態を最も正確に把握している唯一の専門家だからです。レントゲン写真や口腔内の診察を通して、インプラントが顎の骨にどれくらいしっかりと結合しているか、埋入されている位置や深さ、そして周囲の組織の状態などを詳細に知っています。これらの情報を基に、使用を検討している美顔器の機能が、あなたのインプラントにどのような影響を与える可能性があるのかを、医学的見地から最も的確に判断し、アドバイスすることができます。
相談の際には、使用したい美顔器の取扱説明書を持参することをおすすめします。取扱説明書には、美顔器の種類(EMS、RF、超音波など)や出力レベル、使用方法といった詳細情報が記載されています。これにより、歯科医師は美顔器の特性とあなたのインプラントの状態を照らし合わせ、「この機能なら大丈夫」「この部分は避けるべき」など、より具体的でパーソナルなアドバイスをしてくれるでしょう。自己判断によるトラブルを避けるためにも、まずは歯科医師に相談するというステップを忘れないでください。
ポイント2:インプラント周辺の部位を避けて使用する
歯科医師から美顔器の使用許可が得られたとしても、インプラントが埋まっている部位やその周辺への直接的な使用は避けることが鉄則です。美顔器を使用する際は、必ずインプラントの位置を意識し、その周囲には美顔器のヘッドが触れないように細心の注意を払ってください。
例えば、もし上顎の奥歯にインプラントが入っている場合であれば、額やフェイスラインの下部など、インプラントの埋入部位から十分に距離がある箇所に限定して美顔器を使うといった工夫が必要です。逆に、前歯近くにインプラントがある場合は、口周りの美顔器使用は特に慎重になる必要があります。
この「インプラント周辺を避ける」という判断も、自己判断に委ねるのではなく、事前に歯科医師に相談し、「この範囲なら使用しても良い」という具体的な指示や許可を得ておくことが重要です。歯科医師はインプラントの正確な位置を把握しているため、あなたにとって安全な使用範囲を明確に教えてくれるでしょう。大切なインプラントを守るためにも、物理的な距離を保つことを意識してください。
ポイント3:弱い出力レベルから試す
美顔器の使用を再開する際には、いきなり以前と同じ出力レベルで使用せず、必ず最も弱い出力レベルから試すことが非常に重要です。インプラントが入ったことで、以前と同じ刺激でも感じ方が変わる可能性があります。
最初はごく弱い刺激からゆっくりと試すことで、万が一、いつもと違うピリピリ感、熱感、または不快な痛みといった違和感があった場合に、すぐに気づき、使用を中止することができます。これは、美顔器によるインプラントへの影響を最小限に抑え、リスクを回避するための非常に慎重なステップです。問題なく使用できることを確認しながら、徐々に自分にとって適切な出力レベルに調整していくようにしましょう。焦らず、段階的に進めることで、インプラントの安全を確保しつつ、安心して美容ケアを続けることができます。
ポイント4:痛みや違和感があればすぐに使用を中止する
美顔器を使用している最中に、口の中や顎、顔のどこかに少しでも違和感や異常を感じた場合は、直ちに使用を中止することが最も重要です。例えば、「ピリピリする」「チクチクする」「熱く感じる」「ジーンとする」といった、いつもとは違う感覚があったら、すぐに美顔器の電源を切り、患部を確認してください。
たとえ痛みがすぐに引いたとしても、「これくらいなら大丈夫だろう」と自己判断して使い続けるのは非常に危険です。無理に継続することで、インプラントや周囲の組織に回復不可能なダメージを与えてしまう可能性も否定できません。もし違和感が続いたり、痛みが治まらない場合は、速やかにインプラント治療を受けた歯科医院に連絡し、状況を詳しく相談してください。担当の歯科医師が、美顔器による影響か、あるいはインプラント自体に何か問題が起きているのかを専門的に診断し、適切な処置を施してくれます。インプラントはデリケートな治療であり、少しの変化にも注意を払い、専門家の判断を仰ぐことがあなたの健康と安全を守る上で不可欠です。
美顔器だけじゃない!エステや他の美容医療を受ける際の注意点
インプラント治療を受けている方が美顔器を使いたいと考えるのと同様に、エステサロンでの施術や美容クリニックでの治療についても、「インプラントに影響はないだろうか」と不安に感じるのは自然なことです。家庭で使う美顔器だけでなく、プロが行う施術でも、インプラントがあることを事前に申告することは非常に重要です。インプラントはデリケートな部位であり、施術内容によっては悪影響を及ぼす可能性があるため、必ず施術前に担当者や医師に伝えましょう。
ハイフ(HIFU)
ハイフ(HIFU)は、高密度の超音波エネルギーを皮膚の深部に集中させ、たるみ改善やリフトアップ効果を期待する施術です。この強力な超音波エネルギーは、インプラントのような金属に当たると、反射して予期せぬ部位に熱が集中し、火傷(熱傷)を引き起こすリスクがあります。そのため、多くの美容クリニックでは、インプラントが埋入されている部位やその周辺へのハイフ照射は禁忌とされています。
施術を検討している場合は、カウンセリングの際にインプラントの正確な位置(上顎か下顎か、どの歯の位置かなど)を伝え、担当の医師や施術者に必ず確認してもらいましょう。インプラントの位置を考慮した上で、安全に施術できる範囲を相談することが大切です。
顔の脱毛(レーザー・光脱毛)
顔の医療脱毛や光脱毛は、毛根に熱を加えて破壊することで脱毛効果を得る施術です。レーザーや光が直接インプラントの金属に影響を与えるわけではありませんが、皮膚表面で発生した熱がインプラントに伝わる可能性はあります。また、光の透過により口内が眩しく感じることも考えられます。
安全に施術を受けるためには、事前にインプラントがあることを脱毛サロンやクリニックに申告することが必須です。申告すれば、ほとんどの場合、インプラントがある部位の照射を避ける、または口の中にガーゼなどを入れて保護するといった適切な対応をしてくれます。これにより、インプラントへの影響を最小限に抑え、安心して顔の脱毛を受けることができます。
糸リフト(スレッドリフト)
糸リフト(スレッドリフト)は、特殊な医療用の糸を皮膚の下に挿入し、たるみを引き上げてリフトアップ効果を狙う美容医療です。インプラント治療を受けている方が糸リフトを検討する際には、特に注意が必要です。糸を挿入する際に、インプラント周辺の組織を誤って傷つけてしまったり、インプラントと接触することで感染症のリスクを高めたりする可能性があります。
安全に施術を行うためには、担当する医師がインプラントの位置を正確に把握していることが不可欠です。インプラントの位置を避けて、安全なルートで糸を挿入するよう慎重に計画を立てる必要があります。そのため、糸リフトを希望する際は、必ず事前にインプラントの有無と位置を伝え、インプラント治療への理解と経験が豊富な医師に相談することが非常に重要になります。
よくある質問
インプラント治療後に美顔器を使用するにあたり、読者の皆さんが抱きがちな具体的な疑問について、これまでに解説した内容の補足として、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。安全に美容習慣を続けるための参考にしてください。
Q. 美顔器の取扱説明書に「インプラントの方は使用不可」と書かれています。使えませんか?
美顔器の取扱説明書に「インプラントの方は使用不可」と記載されている場合、多くのメーカーは万が一のトラブルを避けるために、安全側に立った注意喚起としてそのような記載をしています。これは、インプラントの埋入部位や安定度、使用する美顔器の機能など、個人の状況が多岐にわたるため、一律に「安全」とは断言できないことから、自己判断による使用を避けてほしいという意図が込められています。
したがって、「使用不可」という記載は、自己判断で使用してはいけないという強いメッセージとして受け止めるべきです。最終的な使用可否の判断は、美顔器の種類やご自身のインプラントの状態を最もよく知る歯科医師の専門的な見解に従うことが最も安全な方法と言えるでしょう。歯科医師はレントゲンなどでインプラントの正確な状態を把握しており、具体的なアドバイスが可能です。
Q. チタン製以外のインプラント(ジルコニアなど)なら大丈夫ですか?
インプラントの素材には、一般的にチタンが使われますが、ジルコニア製など、金属ではない素材のインプラントも存在します。ジルコニアインプラントは金属ではないため、チタンと比べて電気や熱を通しにくいという特性があります。
この特性により、EMS(電気刺激)やRF(ラジオ波)など、電気や熱を利用する美顔器によるインプラントへの影響は、理論上チタン製インプラントよりも低いと考えられます。しかし、これはリスクがゼロになるという意味ではありません。インプラントが骨と結合する治癒期間中の振動による影響や、美顔器を強く押し当てることによる物理的な圧力など、素材に関わらず注意すべきリスクは依然として存在します。
そのため、たとえジルコニア製のインプラントであっても、「大丈夫」と自己判断するのではなく、必ず担当の歯科医師に相談し、ご自身のインプラントの状態と使用したい美顔器の機能を伝えて、専門的な意見を仰ぐという原則は変わりません。
Q. 歯科医師に相談しにくいのですが、どうすれば良いですか?
美容に関するデリケートな質問を歯科医師にすることに、心理的なハードルを感じる方は少なくありません。しかし、インプラント治療後の生活の質(QOL)を維持し、安心して美容を続けることは、治療の一環として非常に大切なことです。歯科医師も、患者さんが美しく健康な毎日を送るために、そうした質問にも慣れており、親身になって相談に乗ってくれるはずです。
相談のきっかけとして、定期検診の際に「インプラントの状態は安定していますか?」と尋ねてから、「実は、美顔器を使いたいと考えているのですが、インプラントに影響はないでしょうか?」と切り出すのがおすすめです。その際に、使用したい美顔器の取扱説明書やメーカーのウェブサイトを見せながら相談すると、歯科医師も具体的なアドバイスがしやすくなります。遠慮せずに、ご自身の美容習慣について相談し、安全な使用方法を確認することで、安心してケアを続けることができるでしょう。
まとめ:インプラント後の美顔器使用は、歯科医師への相談から始めよう
インプラント治療後も、これまで通り美顔器を使って美容を楽しみたいという気持ちはとても自然なことです。しかし、大切なインプラントを長持ちさせ、安心して美容習慣を続けるためには、いくつか重要なポイントがあります。最も大切なことは、自己判断での美顔器使用は絶対に避けるべきだということです。
まず、インプラント手術直後から約3ヶ月から6ヶ月とされる治癒期間は、美顔器の種類を問わず、使用を控えるようにしてください。この期間はインプラントが顎の骨と結合する非常にデリケートな時期であり、外部からの刺激が結合プロセスを妨げるリスクがあるためです。美顔器の使用を検討できるのは、最終的な人工歯(被せ物)が装着され、歯科医師がインプラントの状態が完全に安定していると確認した後になります。
美顔器の種類によってもリスクは異なります。EMSやRF(ラジオ波)のように、電気や熱を発生させる機能はインプラントに直接的な影響を与える可能性が高いため、特に注意が必要です。超音波についても長期的な影響は不明な点があり、LEDやイオン導入/導出といった機能は比較的リスクが低いとされています。しかし、どの機能であっても「絶対安全」とは言い切れません。
最終的に、美顔器を使っても良いのか、どの種類の美顔器であれば使えるのか、そしてどのように使えば安全なのかは、インプラントの正確な状態を知っている担当の歯科医師に相談することが全てのスタート地点です。専門的な知識を持つ歯科医師は、あなたのインプラントの状態や美顔器の機能に応じて、最適なアドバイスをしてくれます。
正しい知識を持ち、専門家である歯科医師としっかり相談することで、インプラント治療後も安心して美容を楽しみ、自信のある毎日を送ることができるでしょう。
少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
監修者
高橋 衛 | Takahashi mamoru
岩手医科大学歯学部卒業後、岩手医科大学歯学部口腔外科第二講座入局し、
医療法人 高橋衛歯科医院設立 理事長就任、MAMO IMPLANT CLINIC MALIOS 開設
【所属】
・日本歯科医師会
・岩手県歯科医師会
・盛岡市歯科医師会
・歯科医師臨床研修指導歯科医
・岩手県保険医協会
・日本口腔外科学会
・日本口腔インプラント学会
・EUROPEAN ASSOCIATION FOR OSSEOINTEGRATION
・AMERICAN ACADEMY PERIODONTOLOGY
・岩手医科大学歯学会
・デンタルコンセプト21 会員
・日本歯科東洋医学会
・JIADS Club 会員
・P.G.I Club 会員
・スピード矯正研究会 会員
・床矯正研究会 会員
・近代口腔科学研究会 会員
【略歴】
・岩手医科大学歯学部 卒業
・岩手医科大学歯学部口腔外科第二講座 入局
・「高橋衛歯科医院」 開業
・「MAMO IMPLANT CLINIC MALIOS」 開業
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『マモ インプラントクリニックマリオス』
住所:岩手県盛岡市盛岡駅西通2丁目9−1
TEL:019-645-6969