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歯が欠ける主な原因|ストレス・歯ぎしりへの対処法と治療にかかる期間

投稿日:2026年2月14日 更新日:

歯が欠ける主な原因|ストレス・歯ぎしりへの対処法と治療にかかる期間
盛岡市にあるインプラント・矯正専門歯科、マモ インプラントクリニックマリオスです。

ある日突然、鏡を見て「歯が欠けている」と気づいたら、誰でも不安に感じるのではないでしょうか。特に、仕事で人と話す機会が多い方にとって、口元の変化は大きなストレスになりかねません。しかし、ご安心ください。歯が欠けてしまった場合でも、適切な応急処置と迅速な歯科受診によって、元の健康な状態を取り戻すことが可能です。

この記事では、歯が欠ける主な原因として、多くの方が無自覚に行っているストレスによる歯ぎしりや食いしばりとの関連性について詳しく解説します。また、もし歯が欠けてしまった際に自宅でできる応急処置や、放置することの危険性についても説明しています。

さらに、欠けた歯の大きさや状態に応じた具体的な治療法、歯科医院での治療にかかる期間や費用の目安についても分かりやすく紹介しています。この記事が、歯の健康に関する不安を解消し、適切な行動をとるための情報源となれば幸いです。

歯が欠けてしまったら?まず行うべき3つの応急処置

歯が欠けてしまうと、痛みだけでなく、見た目の問題や今後の治療への不安など、さまざまな心配事が頭をよぎるものです。しかし、パニックになってしまうと、かえって状況を悪化させてしまう可能性もあります。歯科医院を受診するまでの間、適切な応急処置を行うことは、痛みを和らげ、感染リスクを防ぎ、そしてその後の治療をスムーズに進めるために非常に重要になります。

このセクションでは、歯が欠けてしまった際にまず落ち着いて行うべき3つの具体的なステップをご紹介します。これらの応急処置は、あくまで一時的な対応であり、根本的な治療にはなりませんので、早めに歯科医院を受診することが大切です。しかし、これらの対処法を知っておくことで、いざという時に冷静に対応し、ご自身の歯を守ることにつながります。

欠けた部分には触らず安静にする

歯が欠けてしまったら、まずは欠けた部分に舌や指で触らないように気をつけましょう。欠けて露出した歯の内部はデリケートで、細菌が侵入しやすい状態にあります。不用意に触れることで、細菌感染のリスクを高めたり、歯の神経(歯髄)を刺激して痛みを誘発したりする可能性があります。

また、食事の際も注意が必要です。欠けた歯で硬いものを噛んだり、無理に力を加えたりすると、さらに欠損部が広がったり、残っている歯に余計な負担がかかってしまったりすることがあります。やわらかい食べ物を選び、欠けた歯とは反対側で噛むようにするなど、歯に負担をかけないよう安静に保つことが大切です。

口の中を清潔に保つ

歯が欠けると、その部分に食べかすが詰まりやすくなります。この食べかすを放置すると、細菌が繁殖し、虫歯の進行を早めたり、歯周病のリスクを高めたりする原因となります。そのため、口の中を清潔に保つことは、応急処置として非常に重要です。

刺激の少ないぬるま湯で優しく口をゆすぐことを心がけましょう。歯磨きをする際は、欠けた部分にブラシが強く当たらないよう注意しつつ、周囲の歯や他の健康な歯を丁寧に磨いてください。もしデンタルリンスや洗口液を使用する場合は、アルコール成分が含まれていない、低刺激性のものを選ぶと、患部への刺激を最小限に抑えることができます。

欠けた歯の破片は乾燥させずに保管する

もし欠けてしまった歯の破片が見つかった場合は、捨てずに歯科医院に持参してください。破片が小さくても、場合によっては歯科用接着剤で元の位置に戻せる可能性があります。この際、破片の保管方法が非常に重要になります。

歯の破片は乾燥させてしまうと、再接着が困難になるため、乾燥させないように保管することがポイントです。牛乳や生理食塩水、またはコンタクトレンズの保存液などに浸して保管するのが理想的です。もし手元にない場合は、口の中に含んで(誤って飲み込まないように十分注意してください)保管する方法もあります。ただし、水道水は浸透圧の違いから歯の細胞にダメージを与えてしまう可能性があるため、避けるようにしてください。

やってはいけないNG行動

歯が欠けた際に「早く治したい」という気持ちから、自己判断で誤った対処をしてしまうと、かえって症状を悪化させ、治療を複雑にしてしまうことがあります。特に絶対にしてはいけないのが、市販の接着剤で欠けた部分を自分でつけようとすることです。一般的な接着剤は、歯や歯茎に対して有害な化学物質を含んでおり、炎症やアレルギー反応を引き起こす危険性があります。また、不適切な接着は噛み合わせを悪化させたり、隙間に細菌が閉じ込められて内部で虫歯が進行したりするリスクも高めます。

その他にも、硬いものを噛んでさらに歯に負担をかけたり、欠けた部分を何度も舌や指で触ったりすることも避けましょう。熱すぎるものや冷たすぎるものを摂取すると、露出した象牙質や神経を刺激して強い痛みを感じる場合がありますので、控えるようにしてください。これらの行為は、すべて専門的な治療を妨げ、回復を遅らせる原因となりますので、必ず歯科医院で適切な処置を受けるようにしましょう。

なぜ歯は欠ける?考えられる5つの主な原因

歯は人体の中でも最も硬い組織の一つですが、さまざまな要因によってもろくなり、欠けてしまうことがあります。日常生活の中の些細な習慣から、予期せぬ事故まで、その原因は多岐にわたります。歯が欠けることは、見た目の問題だけでなく、口全体の健康に影響を及ぼす可能性もあるため、原因を理解することが大切です。

このセクションでは、歯が欠ける主な原因として考えられる5つの要素を詳しく解説します。ストレスによる歯ぎしりや食いしばり、虫歯の進行、スポーツや事故による外傷、噛み合わせの乱れ、そして酸蝕歯など、それぞれの原因と歯が欠けるメカニズムを具体的にご紹介します。ご自身の状況と照らし合わせながら、何が原因で歯が欠けてしまったのか、あるいは欠けるリスクがあるのかを把握する手助けになれば幸いです。

原因1:ストレスによる歯ぎしり・食いしばり

歯が欠ける原因として、多くの人が無自覚に行っている「歯ぎしり」や「食いしばり」が挙げられます。特に夜間の歯ぎしりや、日中に無意識に行われる食いしばりは、歯に想像以上の負担をかけています。食事の際に奥歯にかかる力は数十キログラム程度ですが、歯ぎしりや食いしばりではその数倍、時には100キログラム以上の力が歯に加わるとも言われています。

このような過度な力が繰り返し加わることで、歯の表面を覆うエナメル質に目に見えないほどの微細なひび(マイクロクラック)が入り、徐々に歯が弱くなります。その結果、ある時を境に突然、歯の一部が欠けてしまうことがあるのです。忙しい現代社会では、ストレスがこれらの癖を誘発する大きな要因となることが多く、知らず知らずのうちに歯にダメージを与えているケースが少なくありません。

原因2:虫歯の進行による歯の劣化

虫歯は、歯を溶かす細菌によって引き起こされる疾患であり、進行すると歯が欠ける大きな原因となります。虫歯はまず歯の最も外側にある硬いエナメル質を溶かし始め、さらに内部の象牙質へと進行します。象牙質はエナメル質よりも柔らかいため、一度虫歯が象牙質に達すると、内部で大きく広がってしまうことがあります。

外見上は小さな穴にしか見えなくても、歯の内部はスカスカの状態になっていることがあり、食事の際のわずかな力や、硬いものを噛んだ拍子に突然、歯が大きく欠けてしまうことがあります。このようなケースでは、「知らないうちに虫歯が進行していた」ということも珍しくありません。虫歯による歯の劣化を防ぐためにも、痛みがないうちから定期的に歯科検診を受けることが重要です。

原因3:スポーツや事故による外傷

転倒や衝突、交通事故など、外部からの強い衝撃も歯が欠けたり折れたりする主要な原因の一つです。特に顔の前面に位置する前歯は、衝撃を受けやすく、欠損しやすい部位と言えます。スポーツ中に相手と接触したり、転んで地面に顔をぶつけたりすることで、歯が欠けてしまうケースは少なくありません。

ラグビーや格闘技などのコンタクトスポーツを行う際には、歯を守るためにマウスガードの着用が非常に有効です。マウスガードは、衝撃を吸収・分散させることで、歯の損傷リスクを大幅に軽減してくれます。また、日常生活においても、硬いキャンディーを噛んだり、ペンをくわえたりといった些細な行動が、不意に歯に強い衝撃を与え、欠損につながることもあるため注意が必要です。

原因4:噛み合わせの乱れ

歯並びが悪く、噛み合わせが乱れていることも、歯が欠ける原因となることがあります。正常な噛み合わせでは、咀嚼(そしゃく)時にかかる力が複数の歯に均等に分散されますが、噛み合わせが悪いと、特定の歯にだけ過度な負担が集中してしまいます。この集中した負担が、歯の摩耗、ひび割れ、最終的な欠損につながることがあります。

また、日中に無意識のうちに上下の歯を接触させてしまう「TCH(Tooth Contacting Habit:上下歯列接触癖)」も、特定の歯への負担を増大させる一因となります。本来、安静時には上下の歯の間にはわずかな隙間があるのが正常な状態ですが、TCHがあると常に歯が接触し、継続的に力が加わることで歯が弱り、欠損リスクが高まるのです。ご自身の噛み合わせや歯の接触癖について、一度意識を向けてみることが大切です。

原因5:酸蝕歯(さんしょくし)

酸蝕歯(さんしょくし)とは、飲食物に含まれる酸によって歯のエナメル質が溶かされてしまう状態を指します。虫歯菌によるものではなく、酸そのものが歯を溶かすため、虫歯とは異なるメカニズムで歯が弱くなります。特に、炭酸飲料、スポーツドリンク、柑橘類、お酢などを頻繁に摂取する習慣がある方は、酸蝕歯のリスクが高まります。

エナメル質が酸によって徐々に薄くなると、歯の強度が低下し、わずかな力でも欠けやすくなります。また、酸蝕歯が進行すると、冷たいものがしみやすくなったり、歯の色が黄ばんで見えたりすることもあります。酸性の飲食物を摂る習慣がある場合は、摂取後の水でのうがいや、時間を置いてから歯磨きをするなどの対策が有効です。

歯が欠けても痛くないのはなぜ?放置する3つのリスク

「歯が欠けたのに、なぜか痛みがない」という状況に戸惑っている方もいらっしゃるかもしれません。痛みがないと「大丈夫だろう」と自己判断してしまいがちですが、実はその背後には、さらなる問題が隠れている可能性があります。欠けた歯を放置することは、症状を悪化させ、最終的にはより大がかりな治療が必要になるリスクを高めてしまいます。

このセクションでは、歯が欠けたにもかかわらず痛みを感じない理由と、そのまま放置してしまった場合に起こりうる3つの深刻なリスクについて詳しく解説します。大切な歯を失わないためにも、早期に歯科医院を受診することの重要性を理解し、適切な対処に繋げましょう。

神経まで達していない可能性がある

歯が欠けても痛みを感じない最も一般的な理由は、欠損が歯の表面にあるエナメル質の範囲にとどまっている可能性が高いからです。歯の構造は、一番外側を覆う硬い「エナメル質」、その内側にある少し柔らかい「象牙質」、そして歯の中心部に位置し、痛みを感じる神経や血管が通っている「歯髄(しずい)」の3層で構成されています。

エナメル質には神経が通っていないため、欠けがこの層の範囲内であれば、痛みを感じることはほとんどありません。しかし、これは「問題がない」という意味ではありません。エナメル質が欠けて象牙質が露出すると、冷たいものや熱いものがしみやすくなることがあります。さらに放置すると、象牙質の内部にある歯髄に細菌が感染し、激しい痛みを引き起こす虫歯に進行したり、神経が死んでしまったりするリスクが高まります。痛みがないからといって放置せず、早めに歯科医院で診てもらうことが重要です。

放置すると虫歯や歯周病が進行する

欠けた歯を放置することは、虫歯や歯周病の進行を招く大きなリスクとなります。歯が欠けると、その部分は複雑な形状になり、通常の歯ブラシでは届きにくい「磨き残し」ができやすくなります。この磨き残された部分にプラーク(歯垢)が溜まり、虫歯菌や歯周病菌が増殖しやすい環境が作られてしまうのです。

特に、象牙質が露出している場合は、エナメル質よりも柔らかいため、虫歯の進行が早まります。小さな欠けから始まった虫歯が、あっという間に歯の内部で大きく広がり、やがては神経にまで達してしまうことも少なくありません。また、欠けた部分に食べかすが詰まりやすくなることで歯茎に炎症が起き、歯周病を悪化させる原因にもなりかねません。このような悪循環を防ぐためにも、欠けた歯は放置せず、早期に治療を受けることが大切です。

噛み合わせが悪化し、他の歯に負担がかかる

たった1本の歯が欠けただけでも、お口全体の噛み合わせのバランスに大きな影響を与え、他の健康な歯に過度な負担をかけることになります。歯が欠けると、無意識のうちにその部分を避けて食事をするようになり、顎の片側ばかりを使ったり、特定の歯にばかり力が集中したりしがちです。

このような偏った噛み方は、欠けた歯の周辺だけでなく、健康な歯にも想定外の強い力を与えることになります。その結果、健康だったはずの他の歯までが摩耗したり、ヒビが入って欠けてしまったり、さらには顎関節症を引き起こし、顎の痛みや開口障害、顔の歪みといった問題に繋がる可能性もあります。お口全体の健康とバランスを保つためにも、欠けた歯は放置せず、できるだけ早く歯科医師に相談し、適切な治療を受けることが非常に重要です。

【大きさ別】欠けた歯の治療法と期間・費用の目安

歯が欠けてしまった際、「どんな治療になるのだろう」「費用はどれくらいかかるのだろう」と不安に感じる方は多いのではないでしょうか。欠けた歯の治療法は、その欠損の範囲や大きさ、どの歯が欠けたのか(前歯か奥歯か)、そして歯の神経にまで影響が及んでいるか否かによって大きく異なります。

このセクションでは、具体的な治療法について、欠けの大きさに応じた4つのケースに分けて詳しく解説していきます。それぞれの治療で用いられる方法、通院回数や治療にかかる期間の目安、そして費用の概算について、分かりやすく説明しますので、ご自身の状況と照らし合わせながら参考にしてみてください。

治療の選択肢や期間、費用を事前に知ることで、治療への不安が少しでも解消され、スムーズな歯科医院受診の一助となるでしょう。

【小さな欠け】コンポジットレジン(CR)修復

歯の表面のごく一部が欠けてしまったような、小さな欠損に対して最も一般的に用いられるのがコンポジットレジン修復です。コンポジットレジンとは、歯科用プラスチックの一種で、さまざまな色調があり、天然の歯の色に非常に近い仕上がりが期待できます。

この治療法では、まず欠けた部分をきれいに清掃し、その上にコンポジットレジンを直接盛り付け、特殊な光を照射して硬化させます。その後、形を整え、研磨することで治療は完了です。最大のメリットは、多くの場合、1回の通院で治療が完了することです。また、保険が適用されるため、費用も数千円程度と比較的手頃に抑えられます。さらに、歯を削る量が最小限で済むため、ご自身の歯を最大限に残せるという利点もあります。

審美性においても優れており、多くの歯の色に対応できるため、自然な見た目に仕上がります。ただし、レジンは時間の経過とともに水分を吸収し、わずかに変色する可能性があることや、大きな力がかかると欠けたり割れたりするリスクがある点も理解しておくと良いでしょう。

【中程度の欠け】インレー(詰め物)やクラウン(被せ物)

欠けた範囲がコンポジットレジンでは補いきれない中程度以上の大きさの場合や、奥歯など噛む力が強くかかる部位では、インレー(詰め物)やクラウン(被せ物)が選択肢となります。インレーは歯の一部を覆う詰め物で、主に奥歯の比較的小さな欠損に用いられます。一方、クラウンは歯全体を覆う被せ物で、欠損が大きい場合や、前歯の審美性を重視する場合などに適用されます。

これらの治療では、まず欠けた部分を適切な形に整え、型取りを行います。その型をもとに、歯科技工所で患者さんの歯に合わせた詰め物や被せ物を製作します。製作が完了したら、後日再度来院して歯科医師が装着します。そのため、最低でも2回以上の通院が必要となることが一般的です。

素材には、保険適用の金属(いわゆる銀歯)やCAD/CAM冠(白いプラスチックとセラミックの混合素材)、保険適用外のセラミックやジルコニアなど、多種多様な選択肢があります。金属は強度が高く費用も抑えられますが、見た目が目立ちます。CAD/CAM冠は白く目立ちにくいですが、耐久性はセラミックに劣ります。セラミックやジルコニアは天然歯に近い透明感と強度を兼ね備え、審美性に優れていますが、保険適用外のため費用は高くなります。保険適用の治療であれば数千円から1万円程度が目安ですが、自費診療の場合は数万円から十数万円と幅があるため、歯科医院でよく相談し、ご自身の希望や予算に合わせた素材を選ぶことが重要です。

【大きな欠け】根管治療後にクラウン(被せ物)

歯の欠損が非常に大きく、歯の内部にある神経(歯髄)まで達してしまった場合は、より複雑な治療が必要となります。この場合、まず「根管治療」が行われます。根管治療とは、虫歯菌に感染したり、外傷によって炎症を起こしたりした歯髄を除去し、根管内を清掃・消毒する治療です。歯髄が感染したまま放置すると、周囲の骨に炎症が広がり、激しい痛みや腫れを引き起こす可能性があるため、この処置は歯を残すために非常に重要です。

根管治療は、感染の程度や根管の形状によって異なりますが、複数回の通院が必要となることが一般的で、場合によっては数週間から数ヶ月かかることもあります。治療中は、根管の内部を丁寧に清掃し、薬剤を充填して密閉することで、再感染を防ぎます。根管治療が完了した後は、歯が非常に脆くなっているため、そのままでは日常的な咀嚼に耐えられません。そこで、歯の強度を補うために、歯の内部に「コア」と呼ばれる土台を立てます。

この土台の上から、歯全体を覆うクラウン(被せ物)を装着することで、歯の形と機能を回復させます。クラウンの素材は、前述のインレーやクラウンと同様に、保険適用と自費診療の選択肢があります。このように、歯の神経にまで影響が及んだ大きな欠損の場合、治療期間も費用も大幅に増える傾向にあるため、小さな欠けのうちに早めに治療を受けることが、結果的に負担を軽減することに繋がります。

【歯の根まで割れた場合】抜歯とその後(ブリッジ・インプラントなど)

残念ながら、歯の欠損が歯の根っこまで及んでしまったり、「歯根破折」といって歯の根が垂直に割れてしまったりした場合は、歯を保存することが困難となり、抜歯が第一選択となることがあります。これは、歯の構造上、根まで割れてしまうと修復が極めて難しく、放置すると周囲の歯や歯茎に悪影響を及ぼす可能性が高いためです。

抜歯は、最終手段として行われる治療ですが、その後、失われた歯の機能を補うための処置が必要になります。主な選択肢としては、以下の3つが挙げられます。

一つ目は「ブリッジ」です。これは、失われた歯の両隣にある健康な歯を削って土台とし、橋渡しをするように人工の歯を装着する方法です。比較的短期間で治療が完了し、固定式なので違和感が少ないというメリットがあります。しかし、健康な歯を削る必要がある点や、支えとなる歯に負担がかかるというデメリットもあります。

二つ目は「部分入れ歯」です。これは、失われた歯の部分を人工の歯で補い、周囲の歯にクラスプ(バネ)をかけて固定する取り外し式の装置です。治療期間が短く、費用も比較的安価ですが、異物感があったり、安定性に欠ける場合があります。

三つ目は「インプラント」です。これは、顎の骨に人工の歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工の歯を装着する方法です。自分の歯と同じような感覚で噛むことができ、審美性にも優れています。周囲の歯を削る必要がないため、他の歯に負担をかけません。しかし、外科手術が必要であり、治療期間が長く、費用も高額になるという特徴があります。

これらの治療法は、抜歯に至った場合の最終的な選択肢であり、いずれも大掛かりな治療となります。だからこそ、歯が欠けてしまったら自己判断せずに、できるだけ早く歯科医院を受診し、歯を保存できる可能性を探ることが非常に重要です。

ストレスや歯ぎしりに心当たりがある方へ|今日からできるセルフケア

歯が欠けてしまう原因は、虫歯や外傷だけではありません。多くの場合、無意識のうちに行っているストレスによる歯ぎしりや食いしばりが、歯に大きな負担をかけていることが考えられます。一度歯科医院で欠けてしまった歯を治療しても、根本的な原因が改善されなければ、再び別の歯が欠けてしまったり、治療した部分が破損したりするリスクがつきまといます。

このセクションでは、歯の欠損の原因となりやすい歯ぎしりや食いしばりといった癖への対策に焦点を当て、歯科医院で受けられる専門的な対策と、日常生活の中でご自身で意識的に取り組めるセルフケアの両方をご紹介します。治療後の歯の健康を長く保ち、再発を防ぐための具体的な行動を今日から実践できるように、詳しく解説していきます。

歯ぎしりや食いしばりによる歯への負担は、お口全体の健康に影響を及ぼすだけでなく、顎関節の不調や肩こり、頭痛といった全身の不調にもつながることがあります。単に欠けた歯を治すだけでなく、その背景にある原因に対処することで、より快適で健康な毎日を送るための一助となれば幸いです。

歯科医院でマウスピース(ナイトガード)を作成する

歯ぎしりや食いしばり対策として、最も効果的で広く推奨されているのが「ナイトガード」と呼ばれるマウスピースの装着です。ナイトガードは、寝ている間に無意識に行ってしまう歯ぎしりの力を分散させ、歯や顎にかかる過度な負担を和らげることを目的とした装置です。睡眠中に装着することで、歯の表面が削れたり、ひびが入ったり、詰め物や被せ物が破損したりするのを防ぎます。

市販のマウスピースも存在しますが、歯科医院で歯型を採取して作成するオーダーメイドのナイトガードは、患者さん一人ひとりの歯並びや噛み合わせにぴったり合うため、フィット感が格段に高く、効果を最大限に発揮できます。また、市販品では得られないような精密な調整が可能で、より顎関節への負担を考慮した設計がなされます。

このナイトガードは、保険適用で作成が可能です。費用は一般的に5,000円程度が目安となります。歯ぎしりや食いしばりが原因で歯が欠けた経験のある方や、起床時に顎のだるさ、肩こり、頭痛を感じる方は、歯科医院で相談し、ナイトガードの作成を検討することをおすすめします。

日中の食いしばりを意識して改善する(TCH)

夜間の歯ぎしりだけでなく、日中に無意識のうちに行っている食いしばりの癖も、歯に大きなダメージを与えます。これはTCH(Tooth Contacting Habit:上下歯列接触癖)と呼ばれ、本来、上下の歯は会話や食事の時以外は接触していないのが正常な状態です。この「安静空隙」と呼ばれるスペースが、歯や顎関節にとっての休息時間となります。

しかし、パソコン作業に集中している時や、スマートフォンを操作している時、あるいは緊張している時などに、無意識に上下の歯を強く噛みしめたり、軽く接触させ続けていたりする方が多くいらっしゃいます。このような状態が長時間続くと、歯には持続的な負担がかかり、歯の摩耗、ひび割れ、知覚過敏、そして歯の欠損につながる可能性があります。

TCHを改善するためには、まずご自身の癖を自覚することが第一歩です。日中、意識的に「歯を離す」「肩の力を抜く」と書いた付箋をデスクやパソコン、スマートフォンの近くに貼るなどして、常に意識が向くように工夫してみましょう。タイマーをセットして定期的に歯を離す習慣をつけることも有効です。意識的に歯を離すことで、顎の筋肉がリラックスし、歯への負担を軽減できます。

リラックスできる時間を作り、生活習慣を見直す

歯ぎしりや食いしばりの多くは、ストレスが大きな要因となっています。そのため、歯への直接的な対策だけでなく、根本的なストレスを軽減し、心身をリラックスさせるための生活習慣の見直しも非常に重要です。まずは、質の良い睡眠を確保することから始めてみましょう。就寝前のスマートフォンやパソコンの使用を控え、カフェインの摂取を避けることで、より深い眠りにつけるようになります。寝る前にぬるめのお風呂にゆっくり浸かる、軽いストレッチをするなども良いでしょう。

日々の生活の中に、リラックスできる時間を取り入れることも大切です。ウォーキングやヨガなどの軽い運動は、心身のリフレッシュに効果的です。また、アロマテラピーを取り入れたり、好きな音楽を聴いたり、読書を楽しんだり、趣味に没頭する時間を作ることも、ストレス軽減につながります。意識的に「オフ」の時間を作り、心と体の緊張を和らげることで、無意識の歯ぎしりや食いしばりを抑制する効果が期待できます。

過度なストレスは、自律神経のバランスを崩し、全身の健康に影響を与えます。歯の健康だけでなく、全身の健康のためにも、ご自身の生活習慣を見直し、ストレスを上手にコントロールする方法を見つけることが、長期的な視点で非常に重要なセルフケアと言えるでしょう。

歯が欠けることに関するよくある質問

歯が欠けてしまうと、痛みや見た目の問題だけでなく、「このままで大丈夫だろうか」「どれくらいの期間で治るのだろう」といったさまざまな不安が頭をよぎるものです。ここでは、これまで解説してきた内容を踏まえ、歯が欠けた際に皆さんが抱きやすい疑問についてQ&A形式でお答えします。疑問を解消し、安心して次の行動に移せるよう、簡潔に分かりやすく解説していきます。

Q. 治療期間はどのくらいかかりますか?

歯が欠けた際の治療期間は、欠損の大きさや治療法によって大きく異なります。小さな欠けで、歯科用プラスチックを直接詰めるコンポジットレジン修復であれば、通常1回の通院で治療が完了します。

一方、中程度の欠けで詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)が必要な場合は、型取りと装着で最低でも2回以上の通院が必要です。さらに、歯の神経(歯髄)まで欠損が達し、根管治療が必要となる場合は、感染の状況によって数週間から数ヶ月かかることもあります。

また、歯が根元まで割れてしまい抜歯が必要となった場合は、抜歯後の治療(ブリッジ、入れ歯、インプラントなど)を含めると、さらに長期間を要します。正確な治療期間については、歯科医師による診断が必要となりますので、まずは早めに歯科医院で相談し、ご自身の歯の状態に合わせた治療計画と期間の目安を確認するようにしましょう。

Q. 前歯が欠けました。見た目をきれいに治せますか?

前歯が欠けてしまうと、見た目の問題は非常に気になりますよね。現在の歯科医療では、天然の歯と見分けがつかないほど自然な形で修復することが可能ですのでご安心ください。小さな欠けであれば、コンポジットレジン(歯科用プラスチック)を用いて、周囲の歯の色に合わせて修復することで、見た目をきれいに整えることができます。

より高い審美性や耐久性を求める場合は、保険適用外となりますが、セラミックを用いた治療が選択肢となります。セラミックは、透明感があり色調の再現性が非常に高く、経年による変色もほとんどないため、天然の歯のような自然な美しさを長期的に維持できます。前歯は特に目立つ部分ですので、ご自身の希望する仕上がりについて、歯科医師とよく相談し、最適な治療法を選ぶことが大切です。

Q. 治療費は保険適用されますか?

歯が欠けた際の治療費については、ほとんどの基本的な治療が保険適用となります。具体的には、小さな欠けに対するコンポジットレジン充填、金属製の詰め物や被せ物(いわゆる銀歯)、歯の神経を治療する根管治療、歯ぎしり対策のマウスピース(ナイトガード)などは、健康保険が適用される範囲内で行うことができます。

一方で、審美性を追求したセラミック製の詰め物や被せ物、歯を失った場合のインプラント治療などは、保険適用外の自費診療となります。自費診療は費用が高額になる傾向がありますが、見た目の美しさや機能性、耐久性においてメリットがあります。

治療を始める前に、歯科医院でご自身の歯の状態や治療法、そしてそれに伴う費用について、保険適用か自費診療かを含めて十分に説明を受けることが大切です。不明な点があれば遠慮せずに質問し、納得した上で治療を進めるようにしましょう。

Q. 欠けた歯を接着剤でつけても良いですか?

歯が欠けてしまった際、ご自身で市販の瞬間接着剤などを使って欠けた破片をつけようとすることは、絶対に避けてください。これは非常に危険な行為であり、以下のような深刻なリスクを伴います。

口内は常に唾液で湿っており、市販の接着剤では清潔な状態を保つことができません。不衛生な環境での接着は、細菌感染のリスクを大幅に高めてしまいます。

市販の接着剤に含まれる化学物質は、歯の組織や歯茎に有害な影響を与える可能性があります。これにより、炎症やアレルギー反応を引き起こしたり、最悪の場合、歯の神経にダメージを与えてしまうこともあります。

歯科知識のない方が正確な位置に接着することは困難です。不正確な接着は噛み合わせを悪化させ、かえって歯や顎に負担をかけたり、後からの歯科治療をより複雑にしてしまう原因となります。また、接着剤で破片を無理に固定することで、欠けた部分がさらに広がる恐れもあります。

歯が欠けてしまったら、自己判断で応急処置をせず、必ずできるだけ早く歯科医院を受診し、適切な処置を受けるようにしましょう。歯科医師が、歯の状態に適した安全かつ効果的な方法で治療を行います。

まとめ:歯が欠けたら自己判断せず、早めに歯科医院へ相談しよう

歯が欠ける原因は、ストレスによる歯ぎしりや食いしばり、虫歯、外傷、噛み合わせの乱れ、酸蝕歯など多岐にわたります。痛みがないからといって、「大丈夫だろう」と自己判断して放置してしまうのは非常に危険です。欠けた部分をそのままにしておくと、虫歯や歯周病の進行、口全体の噛み合わせの悪化、さらには他の健康な歯にまで負担がかかるなど、さまざまな問題に発展する可能性があります。

応急処置は、歯科医院を受診するまでのあくまで一時的な対処法にすぎません。欠けた歯を根本的に解決し、再発を防ぐためには、歯科医師による正確な診断と適切な治療が不可欠です。例えば、小さな欠けであれば1回の通院で修復できる場合もありますが、放置することで根管治療や抜歯が必要となり、治療期間や費用が大幅に増えてしまうことも珍しくありません。

早めに歯科医院に相談することで、治療の選択肢が広がり、ご自身のライフスタイルに合った最適な治療法を選べます。また、費用を抑えたり、治療期間を短くしたりできる可能性も高まります。歯の健康は全身の健康にもつながりますので、少しでも異変を感じたら、お一人で悩まずに、まずは信頼できる歯科医院に相談して、専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。

 

少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

 

監修者

高橋 衛 | Takahashi mamoru
岩手医科大学歯学部卒業後、岩手医科大学歯学部口腔外科第二講座入局し、
医療法人 高橋衛歯科医院設立 理事長就任、MAMO IMPLANT CLINIC MALIOS 開設

 

【所属】
日本歯科医師会
岩手県歯科医師会
盛岡市歯科医師会
歯科医師臨床研修指導歯科医
岩手県保険医協会
日本口腔外科学会
日本口腔インプラント学会
EUROPEAN ASSOCIATION FOR OSSEOINTEGRATION
AMERICAN ACADEMY PERIODONTOLOGY
岩手医科大学歯学会
デンタルコンセプト21  会員
日本歯科東洋医学会
JIADS Club  会員
P.G.I Club 会員
スピード矯正研究会  会員
床矯正研究会 会員
近代口腔科学研究会 会員


【略歴】
岩手医科大学歯学部 卒業
岩手医科大学歯学部口腔外科第二講座 入局
「高橋衛歯科医院」 開業
「MAMO IMPLANT CLINIC MALIOS」 開業

 

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TEL:019-645-6969

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