ブリッジとは、失った歯の両隣を削って土台とし、人工の歯(ポンティック)を入れる治療法です。
欠損した歯が1~2本の状況の患者さんに用いられる治療法で、土台となる歯は健康な歯を削る必要があります。
健康な歯を削ることを理解したうえで治療を受けましょう。
ブリッジの歯に違和感やぐらつき、痛みを感じるという場合には、いくつか原因が考えられます。
その違和感や痛みを放置していると、さらに歯を失う危険な状況になってしまうかもしれません。
ブリッジ治療をした歯の痛みについてまとめましたので、参考にしてください。
ブリッジ治療した歯が痛む原因
ブリッジ治療をした箇所が痛むのには、いくつか理由が考えられます。
ただしブリッジ治療を始めたばかりか、数年経過しているのか、状況により考えられる理由は違ってくるものです。
ブリッジ治療をした歯が痛む原因としては、以下のような理由が考えられます。
- 支えの歯の神経が過敏になった
- 支えの歯に負担がかかっている
- ブリッジ本体の劣化
- 支えの歯の神経を抜いている
- 歯周病・歯肉炎になっている
- ブリッジの清掃不良
それぞれの状況について、詳しくご説明します。
土台の歯の神経が過敏になった
ブリッジ治療を始めた直後で痛みを感じるなら、土台として削った歯の神経が過敏になっているかもしれません。
土台となる歯は健康な状態で削られたことで、神経が刺激を受けやすくなっています。
単純に人工の歯(ポンティック)が入ったために違和感を感じる場合もありますので、2週間~1ヶ月程度は様子を見てもいいかもしれません。
ブリッジ直後の痛みは珍しい状況ではありませんが、気になる場合は早めに受診するようにしてください。
支えの歯に負担がかかっている
痛みを感じるのなら、支えの歯に負担がかかっているかもしれません。
ブリッジでは、人工の歯(ポンティック)を土台となる両隣の歯で支えています。
その土台となっている歯は、今まで以上に負担がかかっているのです。
かみ合わせが合わなかったり、強い嚙み締めがあったりすると、痛みの原因になります。
またブリッジに強い負荷がかかり、土台となる歯が弱っている場合もあるでしょう。
歯の根が知らない間に割れたり折れたりしているときも痛みを感じます。
ブリッジ本体の劣化
ブリッジは人工の歯なので、長年使用していると劣化して痛みやぐらつきの原因になります。
保険適用のブリッジであれば7~8年が目安の期間です。
ただし噛む力や口腔内の清掃状況によって寿命には個人差があります。
セラミックか金属かといったブリッジの素材も寿命に関係しており、金属の方が劣化が早く寿命が短いです。
ブリッジが劣化すると支えの歯に負担がかかりやすくなります。
長期間使用していて違和感や痛みを感じるようであれば、寿命がきた可能性も考えクリニックを受診しましょう。
土台の歯の神経を抜いている
ブリッジの土台となっている歯の神経を抜いている場合も、痛みを感じる可能性があります。
ブリッジ装着前に、土台に虫歯があれば治療をしているはずです。
歯の状態によっては、神経を抜いている可能性もあるでしょう。
歯の神経を抜くと、歯に栄養が行き渡らなくなり、脆くなっていきます。
神経を抜いて脆くなった歯にブリッジを被せていると、健康な歯に被せる以上に負担がかかります。
食いしばりや噛み締めにより、歯の根に膿が溜まるなどのトラブルが起きているかもしれません。
歯周病・歯肉炎になっている
ブリッジでつけた人工の歯(ポンティック)は虫歯になりません。
しかし土台となっている歯が虫歯になったり、その下の歯茎が歯周病になってしまうケースはあります。
見た目では綺麗でも、ブリッジの裏側は汚れが溜まりやすいので注意が必要です。
虫歯や歯周病が進行すると痛みが出るだけでなく、歯茎の腫れやデキモノができる・膿が溜まる・出血する・などのトラブルが生じる可能性があります。
進行具合によっては、ブリッジを装着しているだけで痛みが出てくることもあるでしょう。
ブリッジの清掃不良
ブリッジは入れ歯とは違って、取り外しの必要のない治療器具です。
自分の歯だけの時よりも複雑な構造となるために、歯磨きがしにくくなり、汚れが溜まりやすくなります。
口の中に汚れが溜まると、細菌が繁殖して歯茎が炎症を起こし、痛みを感じる原因となるので気をつけましょう。
ブリッジのお手入れ方法
ブリッジのお手入れは歯ブラシが基本ですが、スーパーフロスや歯間ブラシを使うと便利です。
人工の歯(ポンティック)と被せ物、歯茎の間は汚れが溜まりやすい場所なので、歯ブラシを45度に傾けて優しく磨きます。
スーパーフロスというブリッジ専用のフロスがありますので、クリニックで購入できるか確認してみましょう。
ひも状のフロスで、先端は固くなっていますが中央はスポンジ状でやわらかくなっています。
人工の歯(ポンティック)の下はスーパーフロスを通して汚れを取り除いてください。
歯間ブラシもスーパーフロスのように、人工の歯(ポンティック)の下を通す際に使用できます。
ブリッジの痛みの応急処置
ブリッジをつけていて痛みを感じたら、できるだけ早くクリニックを受診するのが一番です。
しかしすぐに予約がとれなかったり、時間が合わなかったりと、すぐに受診できない場合もあるでしょう。
クリニックを受診するまでの痛みを和らげる応急処置には、以下のような方法があります。
- 鎮痛剤を服用する
- 患部を冷やす
鎮痛剤は、ロキソニンやイブなど市販の物で問題ありません。
過去に歯科で処方された鎮痛剤があれば、その鎮痛剤を服用してもいいでしょう。
患部を冷やす場合は、冷やしたタオルや冷却シートを頬の上からあてるようにします。
直接氷を口の中に入れたりせずに、外側からゆっくりと冷やしていくと痛みを和らげられるでしょう。
痛みが治まったとしても一時的な緩和にすぎず、根本的な痛みの治療ができたわけではありません。
ブリッジの痛みを感じたら、放置せずにクリニックの受診をしましょう。
ブリッジの痛みを放置するとどうなる?
ブリッジの痛みや違和感を自覚しているのにクリニックに行かずに放置していると、状況が悪化します。
適切な処置をせずにいると、以下のような状況になってしまうかもしれません。
- 虫歯や歯周病の拡大
- 歯の神経が壊死してしまう
- 支えの歯を抜歯する
放置するとどうなるかについても見ていきましょう。
虫歯や歯周病の拡大
ブリッジのぐらつきや違和感、痛みを放置してしまうと、虫歯や歯周病の拡大につながる可能性があります。
見た目では綺麗でも、ブリッジの下では虫歯が進行したり、歯周病が拡大していたりするかもしれません。
歯周病は口腔内の問題だけではなく、心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病といった病とも関係が深いとされています。
全身の健康のためにも、虫歯や歯周病のケアは重要です。
歯の神経が壊死してしまう
ブリッジの土台となる歯の虫歯が進行してしまうと、歯の神経が壊死してしまいます。
歯が脆くなりブリッジの土台としての負担に耐えられなくなると、治療し直さなくてはいけないかもしれません。
神経が壊死した歯は、神経が機能しなくなるために冷たい熱いの温度を感じなくなり、痛みも感じなくなります。
表面はくすんで暗く変色し、歯としての寿命も短くなってしまうでしょう。
支えの歯を抜歯する
ブリッジ土台の歯には大きな負担がかかりますので、弱ると抜歯という選択肢しか残されていない場合もあります。
抜歯となるとブリッジの土台としては機能しません。
ブリッジ以外の治療法を考えていく必要があります。
ブリッジの再治療は可能なのか?
ブリッジの再治療自体は可能です。
ブリッジが劣化したり、虫歯や歯周病になった際には、ブリッジを外して再治療をする場合があります。
再治療が可能であれば、何度でもブリッジ治療が可能なのかと思われる方もいるかもしれません。
しかしブリッジは再治療の度に土台の歯を削る必要があります。
再治療をする度に土台の歯が小さくなってしまいますので、再治療の回数には限界があります。
ブリッジの再治療ができるか否かは、ブリッジの状態と、土台の歯の状況によります。
神経が壊死していたり、土台の歯を抜歯しなければいけない状況だったりすると、ブリッジ以外の治療法を勧められるでしょう。
ブリッジ以外の治療法
歯を失った場合に選択できる治療法は、ブリッジ以外には以下のようなものがあります。
- 自然で審美性の高いインプラント
- 取り外しが可能な入れ歯
- インプラントオーバーデンチャー
治療時のお口の状態や失った歯の本数、治療費の面でも、どれが選べるかは変わります。
正しい知識を持って、総合的に1番良い治療法を選べるようにしておきましょう。
自然で審美性の高いインプラント
インプラントとは、失ってしまった歯の部分に金属の根を埋め込んで、人工の歯を上から被せる治療法です。
天然の歯と同じような見た目で審美性が高く、食事をする際にも違和感がありません。
定期的にメンテナンスをしていけば、半永久的に使用できます。
しかしCTなどの検査の結果、インプラントができない方もいらっしゃいます。
インプラントを検討しているのなら、専門医の元で治療法を相談しましょう。
インプラント治療に関しては、こちらの記事も参考になさってください。
ブリッジとインプラントの違いとは?特徴やメリットについても徹底解説
インプラントのメリット・デメリット
インプラントのメリットは、審美性に優れていて、食事の違和感がないという点です。
健康な歯に負担もかかりませんし、固定した歯を入れられるので天然の歯と同じように過ごせます。
デメリットは、金属の根を埋め込むための外科的な手術が必要になることです。
治療期間が長くなり、体力的・経済的負担もかかります。
基本的にインプラントは保険がきかないため、歯を失った場合の治療法としては1番高額な方法となります。
取り外しが可能な入れ歯
入れ歯とは人工樹脂で数本の人工歯を連結し、健康な歯に固定して使用するものです。
全ての歯を失った場合には「総入れ歯」、部分的に数本の歯を失った場合には「部分入れ歯」を使用します。
ブリッジやインプラントとは違って入れ歯は取り外しが可能なので、清潔に保てます。
保険適用の入れ歯は費用を抑えられますが、素材が限定されてしまうのがデメリットです。
使用感や見た目にこだわって、保険適用外の素材で入れ歯を作るという選択肢もあります。
入れ歯のメリット・デメリット
ブリッジよりも抜けた歯の本数が多い場合に勧められるのが入れ歯です。
ブリッジは土台となる歯を削る必要があり負担がかかりますが、入れ歯なら健康な歯を削る必要はありません。
しかし入れ歯は入れたときの違和感が大きく、硬い物を食べる際にはストレスになってしまうかもしれません。
失った歯が多い場合にも対応できますが、歯がない部分が多いと発音しにくいというデメリットもあります。
インプラントオーバーデンチャー
インプラントオーバーデンチャーとは、総入れ歯に数本のインプラントを取り付けて固定させる治療法です。
歯1本に対してインプラントの根が必要なイメージがあるかもしれませんが、インプラントオーバーデンチャーは数本の根で全ての歯を固定できます。
自分の歯のように何でも噛めて食事も楽しめますので、治療後はストレスなく過ごせるようになるでしょう。
インプラントオーバーデンチャーのメリット・デメリット
インプラントオーバーデンチャーは、インプラントで固定されているのでズレない・外れない・違和感がないというのが最大のメリットです。
通常のインプラントよりも手術の規模が小さいので、体への負担・経済的負担も少なく済みます。
審美性が高く他人に気付かれる心配もないですが、ご自身で取り外しもできるので清潔に保てるのがメリットです。
ただし糖尿病の持病をお持ちの方やヘビースモーカーの場合は治療を断られる場合もあります。
ブリッジの歯に痛みを感じたら
ブリッジの歯の痛みの原因は、土台の歯への負担やブリッジ本体の劣化、ブリッジの清掃不良などがありました。
鎮痛剤を使用したり冷却したりして痛みは緩和させられますが、治療せずに放置しておくと危険な状態になります。
ブリッジの歯に痛みや違和感を感じたら、早めにクリニックを受診しましょう。
歯の状況によってはブリッジの再治療が不可能となり、他の治療法の検討をしなくてはいけないかもしれません。
どのような治療法を選択した場合でも、日常的なメンテナンスをしながら定期健診を受けて、長く使えるよう丁寧に使用していきましょう。