つば付けとけば治る!

幼い頃、私が怪我をして帰ってくると祖父はいつもそう言っていた。
つば付けとけ、だけならまだいい。祖父と二人で外出している時に怪我をしたものなら
大変だ。
祖父は私の傷口に自身の唾液を付けようとするのだから。
そのたびに、私は幼いなりに祖父を悲しませないよう、言葉を探してはやんわりと断っ
たものだ。

つばなんか付けても気休めにもならない、ただ汚いだけじゃないか。
いつも一緒に遊んでくれる大好きな祖父の、唯一解せないところだった。

ところがそれから二十数年経ち、祖父の話しが必ずしも間違いではないと知ることにな
る。
というのも、とある実験を知ったからなのだが…。

ネズミを使った興味深い実験がある。
①背中に1センチ四方の切り傷をつけたネズミを数匹用意する
②飼育ケースを2つ用意する
③1つの飼育ケースには、その傷ついたネズミを一匹だけ入れ、もう1つには数匹入れ
て飼育する

一匹のグループと、数匹のグループ、どちらのネズミが傷の治りが早いだろうか。
答えは数匹のグループである。

一匹のネズミは、自分で背中の傷をなめることができない。
しかし、数匹入れば互いに傷口をなめあうことができる。
唾液に含まれる上皮成長促進因子という傷を早く治す性質が作用した結果だ。

また、唾液にはリゾチームという酵素が含まれており、これが病原菌の侵入を防ぐ効果
がある。
傷口に塗ることによって感染を予防することができるのだ。
例えば、抜歯をしても傷口が化膿しにくいのは唾液によって守られているからだ。

つまり、話は戻るが、
祖父の傷口につばを付けるという行為は科学的に根拠がある、れっきとした治療であっ
たと言えるのだ。

と、大げさに書いてしまいましたが、唾液には素晴らしい効果があります。
歯と関係のある話ですと、上の歯よりも下の歯の方がむし歯になりにくいというデータ
があります。
下顎には唾液腺がたくさんあり、下の歯は常に唾液のプールに浸かっているような状態
です。
そうやって唾液で洗浄されることで、一般的に下の歯の方が寿命が長いのです。

現代人は唾液の分泌量が少ないと言われています。たくさん唾液を分泌させて健康にお
過ごしください。
唾液の分泌量を増やす方法について気になる方は、ぜひ当院にご来院ください。

Share: